この悔しさはいつか必ず…。
とはいえ、その前にまずは川越までたどり着くことが先決だ。
夜間走行の装備をしまい、電飾もスイッチをoffするとゴールへ向けて再スタートを切る。遂に夜が明けて朝がやってきた…。ああ、甲府のホテルを出たのはすでに24時間以上前か…。
ここまでzoffyさんに付き合って貰って本当に良かった。独りだったらとっくにリタイアしてだろう。
感謝をしながら川越を目指す。
最早、歩くことしかできない状態だが、キロ10分はキープし、27時間以内の準完走を目指す。日が昇るにつれて気温も上がってきてはいたが、時折コンビニピットインを繰り返しながら着実に距離を縮めて行く。
「あと10キロは切ったと思う…。」
ここにきて、ちらほらとランナーの姿が見えているのには正直驚いた。諦めの悪いのはデビルだけではなく、他にも大勢いるのだ。声を掛け合いながらゴールを目指す。皆死線を越えてここまで生きてきた戦友達だ。
「頑張れ~!あと8キロだよ~!」
車の中からお声がけを頂く。
あとたった8キロ…。いや、8キロもあるのか…。
やはり雁坂は甘くは無かったな…。永久ゼッケンを手に入れるにはまだまだデビルは未熟だった。デーモンの攻撃も今までに経験したことがないくらいに強烈だった。それでも生きて川越の地までたどり着くことが出来そうなのはzoffy兄さんを始め、スタッフの皆、一緒に走って暖かく見守ってくれた戦友たちのおかげだ。この恩返しはいつかしなくてはならないな…。
やがて、去年までのコースと変更になった地点で右折し、住宅街を抜けて湯遊ランドに向かう道へ辿り着いた。
「デビル来た~!」
とっくにゴールしていたガッチャが中身の格好で通りまで迎えにきてくれた。何人もの人が待っていてくれたのだ。これほど嬉しいことはない。
「デビル良く帰ってきた!」
代表が待つゴールへと向かう。

こうして、26時間19分という長い長い闘いの幕は降ろされた…。まだ後続のランナーがゴールに向かってきている。
ウルトラに敗者はない。
雁坂に集いし戦士たちは皆勝者だ。たとえ途中リタイヤしたとしても、それは勇気ある決断だ。厳しければ厳しい闘いほどそういうものだろう。本当に素晴らしい大会だったなと改めて思い、そして永久ゼッケンを手に入れるまでこの闘いは終わらないのであった…。
《終わり》

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