「大会規則により、この先の区間はウィング着用禁止区間なのさ」
己のポリシーも何もあったものではない。ここから先が本当の雁坂峠なのだ。

(いけのすけスポーツ)
そして、視界確保のために改造されたデビルアイも発動。
顔に風を感じて走る大会なんて久しぶりだな。しかも色がオレンジがかってないなんて本当にストレスがかからない。
「zoffyさん、いつでも先に行ってくださいね」
「いや、第2CPまで一緒にいくよ」
ここでzoffyさんを遅らせる訳にはいかない。デビルは第2CPまでの登りを可能な限り速く進もうと決心。
「あれが雁坂トンネルだよ。」
トンネルを見ながらしばらくは舗装された道を行く。この道が続くなら、奥武蔵のグリーンラインとあまり大差はない。そんなデビルの淡い期待を打ち砕くように登山道入口が見えた…。
ここから先はデビルにとっても未踏の領域だ。トレイルランニングだってしたことがないのに、いきなりの登山ラン。しかも林道ではなく、本格的な登山道はがれ場あり、沢渡りあり、手を着かなくては登れない箇所がありの険しさだ。
確かにVFFではひとたまりもないだろう。トレランシューズにして良かったと思える瞬間だ。
それでもひたすら登り続けるこの道にデビルも悪態をつくくらいしか出るものがない。
「誰だ、こんなコース設定した奴は!」
T代表がほくそ笑んでる顔しているのが頭をよぎった…。
極め付けはつづら折りのひたすら登る急斜面。延々と続く登りに心折れそうになるも、zoffyさんを遅らせてはいけないの一心でデビルは力を振り絞った…。
やがて、急に視界が開けると、遂に峠まで辿り着いたのだ!

これほどの達成感はなかなか味わえない…。
デビルご満悦…。
そして、ここから少し下った所にある雁坂小屋のCP2、42キロ地点に辿り着いたのが12時42分であった。余りにも厳しい闘いなのだ…。

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