「でも、我らにとってのNo.1はどららちゃんにしておこうよ。それが大人ってもんだよ。」
流石はGだ。デビルのようにうぶで真面目な男にはこのような計算は出来ない。というか、疲れてくると本能だけになってくるものだ。
走力は劣っているが、闘争本能だけは衰えてはいない。
「気持ちは切らすな!」
Gからの叱咤激励が飛ぶ。
わかってるぜ~。今までだって
気合
だけでウルトラを走り切ってきたデビルだ。どれだけ苦しくなったって脚だけは動かし続ける。デビルアイの奥で光り続ける瞳は静かに燃え続けていた事は誰も知らない…。
やがて、後方に退いていたzoffy兄さんが追いついてきた。流石は恋熊界の長兄だ。熱中症に苦しんでいたようだが折り返しから復活してきたとのこと。このままぶっちぎって先に行っても良いものを、デビルの10時間切りに付き合ってくれる。
エイドで仕入れた氷水を時折デビルの頭からかけてくれながら、先を行くガッチャを追う。
サブ9ランナー二人にサポートについてもらえるなんて、なんて贅沢なことか。この時ほど二人に申し訳なく、かつ頼もしく思ったことはない。
デビルは最後の力を振り絞り、ユガテASのあとの激坂をユックリとだが登って行く。もう歩かない。そう心に誓うと最後の難所を乗り切っていった…。
「あとは下りだけだ!」
10時間切りが見えてきた瞬間だった。
《続く》

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