フルのスタートとほぼ同時刻に恋熊県本恋熊に生息する女番長『ぎあす』姐さんが、西武新恋熊線に乗ってやって来た。
「これ買っちゃった!」
腕には選ばれた恋熊しか買うことが出来ないと言われているごつくて四角くてオレンジ色のラインの入ったGARMINがまだ電源も入れられない状態で光り輝いているではないか!
「これってさ、一旦手に入れたら20時間は走り続けないといけないんだよ…。」
明らかに普通の女性とはかけ離れた感覚の持ち主、女番長『ぎあす』姉さんの大暴走がここから始まろうとは、一般人デビルには想像もつかなかったが…。
フルのラップは1周ほぼ20分で刻んで行く。このままのペースでいけば4時間20分前後でゴール出来る計算だが、所沢のデーモンはデビルの弱点であるアキレス腱を攻めてきた。

photo by ぎあす姐さん
「デビル、ウィングが傾いてるぞ!」
筆おろしした新品のデビルウィングはまだアジャストメントが完了していないのだ。
自分の足首にテーピングを貼ることよりもウィングの調整にテーピングを貼ることを優先させていたことは内緒だ…。
そんな状態でズルズルとペースを落としていくデビルマン。並走してくれているぎあす姐さんに悪態をつく。
「くっそ、俺なんかスカウターで見たら戦闘能力139位の亀千人レベルだな…。どらごんさんはスーパーサイヤ人レベルだから21000くらいあるだろうな…。」
女番長は適当に受け流しながら走り続ける。流石は100キロデビューしただけのことはある、デビルレベルでは丁度良い練習相手レベルなのだろう。
そんなこんなで苦しみながらではあるがエイドの食べ物はキッチリと食べる事を忘れない。というか明日になると人数が多くて食べ損ねる可能性が高いので、今のうちに好きなだけ食べるのだ!
フルーツ(グレープフルーツ、バナナ)
野菜(トマト、キュウリ)
蕎麦、ソーメン、かりんとう 等々…
かき氷が出てきた頃には走る気力もだいぶ削がれてきた…。
答えてください
この世のありとあらゆるものの
すべての生命に約束があるのなら
春は死にますか 秋は死にますか
夏が去る様に 冬が来る様に
みんな逝くのですか
「あ~っ!もうこれ食べたから辞めようかなぁ」
「リタイヤしたら雁坂なんかいけないぞ!」
T代表の容赦ない叱責が飛ぶ。
そうだ、これはデビル伝説の始まりなのだ。こんな所で立ち止まるわけにはいかない。
雨が降り始めていたことにすら気付かずに、デビルは再び走り始めるのであった…。
【続く】

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