序盤、コースの右端を走っていた三連星であったが、皇居あたりまで来ると左側にしか観衆がいないので
進路変更。見事な隊列でジェットストリームアタックを継続!
「すげー、この辺り連続してる!」
「なんか得した気分!」
途切れることのない大観衆を阿鼻叫喚させながら三連星は突き進む。やがて前方に怪獣発見!
「デビル!カネゴンだよカネゴン!」
ガッチャが叫ぶとどう考えても円谷プロから盗んできたとしか思えないくらい完成度の高いカネゴンが!背中には『岩手△□○』と書いてあるし、円谷プロといえば各地の大会でおなじみのあの人では?
「もしかしてバ○タン?」
横に並び際、デビルがそう問いかけるとカネゴンは静かに頷いた…。この日の為にあれだけの人気を誇る宇宙忍者をやめてカネゴンで挑むとは恐るべし…。しかも明らかに走りづらそうだ。
(カネゴン頑張れ!)
デビルはエールを送ると先行した。
それにしても東京マラソンは途切れることのない観衆の多さとランナーの多さで本当にお祭り騒ぎだ。この中には去年までのデビルと一緒で抽選に外れた人が沢山いるのだろう。走りたくても走れなかった人達の分までデビルは走る。
この日の為に今までやったことのないオールフリー生活までしてミートテックを脱いできたのだ。普段のデビルを知らない人は思っているだろう
「あんな格好で完走出来るのか?」
「真面目に走れよ。」
判ってくれとは言わない。こう見えても大真面目だし、完走どころか万単位のランナーを抜こうというのだ。しかも沿道の皆を興奮の坩堝に陥れながら…。三連星は品川の折り返しを過ぎて行った…。
ここからは東京の中心を浅草まで一気に北上する。
三連星のジェットストリームアタックは益々そのキレをまして魔都デーモンを殲滅して行く。自分が今どの辺りにいるのかわからなくなればすかさずコース図が背中に書かれたランナーを捕まえては
「ちょっと背中かして。今この辺だろう…」
と位置をチェックするのだ。
快調に北上を続ける三連星に以上が起きたのは浅草に向かう途中であった…。
ビキッ!!
シレーヌの鉄の爪がデビルの左脹ら脛を直撃した…。
《続く》
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