『40』
ブロックに書かれて道端に置かれた距離表示もこれで最後。
長く厳しかった闘いもやっとあと少しで終える事が出来る…。
そう思うと同時に“もう”たったニキロで終わってしまうのかとも寂しく思う。
フルマラソンのラスト2.195キロは不思議な距離だ。この中途半端な距離がいつも割り切れない。
この世に綺麗に割り切れるものなんて無いんだよと走りの神が人に問いかけているのだろうか?色々なことを思いながら走る…。
強くありたい…。
自分に言い聞かす。
走りの神は、自分には速く走るための天性を与えてはくれなかった。神は微笑んでくれなかったけれど、自分より速いランナーは沢山いるけれど、どんな逆境にもくじけない強さだけはこれからも追求していこうと思う。
走りの神に愛されなかった自分は、人の世に愛ある限り、苦しいレースの時も周りのみんなを勇気づける為に、デビルマンとして闘い続けていこうと心に刻んで…。
下り坂を降りきって、左に曲がるとゴールの芦ヶ久保小学校はもう目の前。
先にゴールした『どらごん』さんがタオルを回して応援してくれている。ラストは併走までしてくれて、ついにゴールテープを切った…。
タイムは4時間51分で決して誇れるものでは無かったけれど、これが今の自分の精一杯だ。
悔いも後悔も無く、ただただ家族に、スタッフに、参加者に、そして一緒に走ったランナー達に、どらごんさんに、中柴哲太郎さんに、走る整体師さんに感謝するばかり…。
ありがとう。
そして自分の脚に聞いてみる。まだ大丈夫だよな?
「どうってことないさ!」
こうして奥武蔵への挑戦を終えた人間デビルマン、また新たな闘いに向けて歩みだすのでありました。