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鈴木 彰の ミドル・シニアランナーのためのランニングブログ

@runnerのCEO、e-Athletesヘッドコーチの鈴木彰が、なるべくプライベートな部分は避けつつ、主に概ね40歳以上のミドル・シニア(中高年!)ランナー向けにランニング関係のあれこれを綴ってみようかなってとこです。


(3)故障


 疲労~体調不良~故障~と広義で考えて良いのですが―。

 日本の長距離・マラソンが弱くなったのには、いろいろ複合的な要因があるのですが、昔より決して練習量が減った…ということはありません。
 
 むしろ今の選手は、一昔前のトップ級=現在の指導者層がビックリするくらい良く練習しています。

 が、それが仇となり、疲労を溜め込み、体調を崩したり、故障したり、再起に時間がかかったり、再起できなかったりしている…ということがあります。
 
 日本育ちの北京五輪男子マラソン金メダリスト;故サムエル・ワンジル選手は「日本人選手は練習し過ぎでいつも疲れている」というようなコメントを残しています。
 世界―の選手に「練習し過ぎ」と言われちゃうわけですから、どんだけ練習してんのか!?という話ですが、けっこうこれは深刻な問題かも知れません。


 実際、その北京五輪くらいから現在に至るまで、世界陸上・五輪のマラソン日本代表選手の故障・欠場が相次いでいる…という現実もあります。今回も、故ワンジル選手の元同僚、今井選手が欠場になっちゃいましたね。

 しっかり練習して、きちんと調整して代表になる ~ 世界と闘えるよう、もっともっと練習する~ 練習し過ぎて、調子を落とすか体調を崩すか故障する ~ 欠場するか、本番でボロボロ…。

 ―みたいなことを延々と繰り返しているような。。。

 競技スポーツにおいては、勝つことと故障することとは紙一重でもあるのですが、どうも向こう側の方に寄ってしまっているような感じもします。

 

男子マラソンの日本勢は、ある程度は仕方ないかな…とも思いましたが、男子10000mは…。そして期待の男子20Km競歩もまた…。


 負の連鎖というか、こうなると共通の重大な問題が何かあるのでは…と考えてしまいます。
 もちろん、1つや2つの要因ではないと思いますが。。。


 (1)実力

 マラソン、10000mにおいては、到底メダル争いには絡めないことは想定できましたが、それにしても結果(タイム・順位・内容)が悪い。。。
 実力差もさることながら、その実力を発揮も出来ていない…異常に発揮率が低い、という感じです。そこにまた、「なぜか?」という問題も生じるわけですが。

 10000mに限っては、一発決勝(=予選なし)となったように、夏のアジア開催の世界陸上は、「少数精鋭」になる傾向にあります。条件も悪いし、欧州やアフリカからだと遠征の負担もあるので、選手団自体が縮小されるんですね。特に五輪前年の世界陸上はそうです。

 そうすると、入賞圏外レベルの層が薄くなるため、日本代表陣のように、参加標準記録をギリギリ突破したくらいで決勝のレースを走るというのは非常に厳しくはなります。

 実際、日本勢の5000mのようなペースで10000mを進めているわけですから、やはりレースになりません。。。

 ただ、それにしても潰れるのが早く、立て直しもまったく効かなかったですね。この点はかなりの驚きというかガッカリというかビックリというか、、、ちょっと何が起こったのか分かりません。

 鎧坂選手も、決して良いわけではなかったものの、あのくらいの順位・タイムが今回なら「普通」でしょう。普通では対抗できませんが、他の2人のように大潰れして手も足も出ないほどの実力しかないわけではないはずなのですが。。。


 (2)調子

 競歩陣が故障のリスクを抱えている以外、仕上がりは悪くない―ということだったのですが、本当にそうか―。

 これは今、メルマガの方でやっている「フィットネス―疲労理論」にも関わることなのですが、フィットネスがかなり上がっているが、疲労はまだ残っている~状態と、本当に「フィットネス―疲労」のレベルが高く維持出来ているのとを思い違いをしていないか―というのがあります。この点は、メルマガの方で詳しくやります。
 
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 それと暑さ対策。仕上がりは良くても、暑さ対策がきちんと出来ていないか、あるいは計画を失敗しているのではないか? 
 なんか、やたら暑い、暑い…と言っているようなので。。。

 暑さ対策といっても、暑い中で練習すれば良いというものではありません。それだと暑さには慣れても、コンディションは上がりませんので。

 暑熱馴化のノウハウ、今回の本番に向けての計画と、その実践~という面で、ここまでの結果を見ると、???という感じがあります。こういうのは、もともと日本は得意だったはずなのですが。。。

 
 次回、(3)故障― までやりますね。

男子マラソン


 厳しく難しいレースでした。

 条件の良いところでタイムを狙うレースと違い、悪条件下で順位を競うレースでは、いろいろな要素が複雑に絡みますので、なかなかテレビで見ているだけでは分からないことがあります。

 いろいろな要素とは~

 (1)基本的な実力、走力、特性
 (2)その日、そのレースにおける調子・仕上がり具合
 (3)その日の気候コンディション、地域的な気候特性
 (4)レース展開、ペース配分、駆け引き

 ~といったところですね。

 何もなければ、(1)(2)でタイムは出るのですが、、、

 今回は、なんといっても(3)~この季節の北京で、だいぶ暑かったようです。その結果、スローペースになり、そのまた結果として(4)が複雑になりました。

 スローペースなんだから、楽々、淡々と走っているのかといえば、そんなことはなく、テレビでは分からない、小刻みなペースアップやペースダウンを繰り返すという、小競り合い、駆け引きが延々とあるわけです。これでどれだけ脚を使い、どれだけ脚を残せるのか~が鍵となります。

 この結果、後半は、消耗戦の様相を示すようになり、脚の残り具合と、スパートのタイミングで大きく展開が変わります。

 30キロ以降、あれあれ?と思わぬ形で、抜け出す選手と遅れ出す選手が出てくるのもそのためです。
 
 中本選手が、世界に出ると強かった!のは、この駆け引きに関わらない~あえて反応しない…ということがありました。生き残るが上手だったわけですね。 

 

 さて、日本勢は、本当に残念でした。

 世界の一線からは遠退いているとはいえ、なんだかんだで8大会連続で入賞は続いていたのですが、、、

 今回は、エースの今井選手の欠場(この件は、また別途触れます)もありましたが、藤原、前田選手とも、(4)の前に、既に(3)でやられてしまったようです。。。
 (1)的な問題もありつつも、(3)(4)的には、むしろアドバンテージすらあるかと思っていたのですが。


 暑いとはいえ、東アジアの気候に慣れているという点では、海外勢よりも圧倒的に有利!…なはずが、、、
 
 もともと暑さには不安のある2人だったとはいえ、おそらくは、<涼しいところでトレーニング>→<直前に暑さに馴化!>というプロセスのどこかに計算違いがあったのでしょう。(このプロセスの設定自体は王道で、間違いではありません)

 耐暑マラソンには伝統的に強いイタリア勢が2人入賞したのとは対照的な結果になってしまいました。。。

 
 ただ、2人とも、(2)的には悪くない~仕上がりは良かったようなことを話していましたね。ここがちょっと鍵というか、なるほどと思う示唆があります。これもまた別途触れます。
 
「ランナーのための夏の100冊」

 どこかの出版社のおなじみの企画みたいですな。。。

 「トップランナーから読者、コーチや編集者など、走っている人たちによるお勧めの100冊です。」ってことで、業界のいろいろな方が、いろいろな本を紹介しています。

 普通に推薦すれば、普通に有名な本が普通に出てくるものですので、その点は皆さん、考えましたね。裏から行ってます。。。

 なんてたって、エントリーナンバー1が、瀬古利彦さんご推薦の「人生がときめく片付けの魔法」…。ブームとはいえ、片付けの本ですよ、ランナーのための1冊が!!笑撃です~。

 ちなみにエントリーナンバー5、増田明美さんは「気が付けば俳句」???個人的に読んでみようと思ったのは、エントリーナンバー66「サイボーグ009完結編」えっと、ランナーのための…

ランニングマガジンクリール 2015年 09 月号 [雑誌]


 私も、教育学部国語教育学科卒ですので、こういう企画では意地とプライドが出ます。誰も知らない本を推薦しようと、、、

 エントリーナンバー13「ささぶね船長」
 
 戦後まもなくの震災孤児を描いた児童文学です。中学生の頃、ソノラマ文庫版で読んだ記憶があります。

   「走っている時だけは、前を見ていればいい」~そんな話です。。。

 既に絶版ですので、興味のある方は図書館で探してみてください。


 
 エントリーナンバー87には、編集部のご好意で「eA式マラソン<新常識>トレーニング」を入れていただきました。

eA式マラソン“新常識”トレーニング
 先月の予告通り~

 ランナーズ9月号の「ウチの朝ごはん」に登場しています。。。(P61)

 別に中身はないですが、こんな感じってことで。

 特に、おススメの朝食内容というわけではないので、参考にしなくて良いです。
 単に、我が家の慣習として摂っているメニューですので。




ランナーズ 2015年 09 月号 [雑誌]

アールビーズ (2015-07-22)