悦子が予約が取れないレストランの名前を聞いて興奮して聞いた。
「ええ、かなり人気があるそうですね」
「嬉しいです、ありがとうございます」
悦子は銀座クラブ蝶のホステス時代から正一郎から目を掛けられ
ていたが、あくまで体と金の関係だけで
優しくしてもらった記憶のない悦子はとても嬉しかった。
「さて、欲しい物決まったかな?」
亮はバックヤードから店内に戻ると美喜がエルメスのバッグを持って
鏡に姿を映していた。
「それですか?」
「うん、買ってくれるの?」
「もちろん」
「キャー嬉しい」
美喜が微笑むとマギーが亮のスーツの上着の袖口を摘まんだ。
「マギーも好きな物選んでいいよ」
「やった!」
マギーは大きな胸を揺らし飛び上がった。
いつも美宝堂で外国人相手にブランド品を売っている
マギーはうらやましくてストレスが溜まっていた。
「なんだ・・・」
悦子はなかなか予約が取れないレストランを自分の為に予約してくれた
亮を快く思っていたが、周りに女性に気前よくブランド品を買ってやる亮を
金持ちのバカ息子にしか思えず鼻で笑った。
美喜とマギーにブランドバッグを買うと
3人はピートを出て道玄坂を渋谷駅に向かって歩き出した。
「ありがとう、亮」
美喜が亮に礼を言うと亮は笑いながら答えた。
「その分、今夜2人に働いてもらいます」
「そう来るだろうと思っていた、何?」
マギーが亮に腕を組んで顔を近づけた。
「さっきの田代悦子のスポンサーの黒崎正一郎を
代官山のマンションに帰さないでほしい」
「その間に彼女を落とすわけ?」
「そう、僕たちの仲間に引き込む」
「でも私たちとはしゃいでいた亮を見て彼女鼻で笑っていたわよ」
美喜は亮の顔を覗き込んだ。
「分かっている、そのつもりでやっていた」
「どう言う意味?」
「今頃彼女はスポンサーの正一郎に電話をして、馬鹿息子の僕を籠絡して入り
値を下げさせると言っているはずです。委託と販売では10%と違いますからね」
「つまり、正一郎に良い所を見せようとするわけね」
「はい」
「でも、それなら私たちが正一郎を引き留める事ないじゃない」
「いや、僕が彼女を落とす時間が欲しい。もし僕が彼女を落としても
正一郎の秘密資金が暴けなかった時の為に正一郎を虜にして欲しい」
「うふふ、忍者くノ一に任せて」
「あら私の肉体の方夢中になるかも」
美喜とマギーが競い合っていた。
「とりあえず甲山さんがキャシーに正一郎を合わせる事になっていて
一恵さんが通訳として付いている。マギーがボディガード、
美喜さんは蝶のホステスで近づいてほしい」
「了解!私の方が不利ね?」
「いやいや、SPスタイルはセクシーだよ。その巨乳を押し付ければ
どんな男でも興奮する」
亮は嘆くマギーを慰めた。
「了解、早速着替えて合流します」
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「黒崎さん」
会議場で正一郎に内村が声を掛けた。
「ああ、内村さん。お久しぶりです」
「黒崎さん、珍しく東京の会議に出席ですか?」
「ええ、ちょっと東京に用がありましてね」
「どうですか今夜久しぶりに蝶で飲みませんか?」
「良いですね」
正一郎は上京すれば必ず蝶に行く事になっていたので
2つ返事で答えた。
「では6時の会食の後に」
「はい、失礼します」