渡夢太郎家の猫 -11ページ目

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「大切な人を裏切ったんです」
「まさか悦子さんがそんな事を・・・」
亮が優しく言うと悦子は自分の事を話し始めた。
「私は岩手県から上京して銀座で働きました。
その時のママが何も知らない私をまるで
身内のように面倒を見てくれてたんです、
 そしてママが初めて買ってくれたルイビトンのバッグ、
とても嬉しくて
 1日中眺めたり、枕元に置いて寝たりしていた」

その時の映像が頭に浮かんだ悦子の目から流れる
涙は止まる事が無く
亮が思わずハンカチを悦子に渡した。
「ごめんなさい・・・」
亮は悦子が謝った相手は蝶のママ絵里子だと分かっていた。
「裏切ったと言うのはどう言う事ですか?」
「ええ、でも・・・」
「ここでは話し難いですね。メインディッシュと
スイーツを食べてから
聞かせてください。
 甘い物を食べると心が穏やかになります」
「はい」

悦子はそこにコック帽をかぶった男が亮の脇に立った。
「いらっしゃいませ、團様」
「うっ」
亮は思わず食べ物を喉に詰まらせた。
「料理はお好みに合いましたでしょうか?」
「美味しいです。特に鶏肉のポアレ
皮の焼き具合が最高です」
「ありがとうございます。田代様、私の
拙い料理満足いただけましたでしょうか?」

「はい、とても美味しくいただきました」
「ありがとうございます。またおいでください」
シェフは深くお辞儀をして厨房に戻って行った。
「料理長が挨拶に来るなんて嬉しい」
「そうですね」
「さっきから気になっていたんですけど、
どうして團さんと私の料理が
 違うんですか?私は牛肉、團さんは
鶏肉それに團さんのサラダには
 鮭の皮が入っていたわ」

「そうでしたか?シェフがお客様の好に
合わせたんじゃないですか?」
「そうかそれだったら凄い!」
すると亮の携帯にメールが来た。
「亮、今日の料理にはチーズと牡蠣をたっぷり
使ってあるから女性は興奮状態だ。
 彼女に出してあるお酒、強くしてあるからな
 頑張れよ。by亀山」

※亀山言ったチーズにはフェネルチアミンと言う
 覚醒、幻覚作用を起こす成分がチョコレートの
10倍の成分が含まれている。
また牡蠣に含まれている成分亜鉛には
テストステロンと言う
性ホルモンがある。

「ありがとうございます」
亮は亀山がル・シェルシェフと
知らされていなかったので
礼を言うのがやっとだった。

「興奮状態って!ここにいる女性全部!」
亮がつぶやきながら周りにいる数人の
うっとりした目の女性と目が合った。

そして亀山と入れ替わりに席に戻ってきた
桃華がニコッと笑った。
「ママさんにプレゼントしてもらったバッグの状態
 どうですか?」
「・・・かなり傷んでいます。1年くらい毎日持っていましたから」
「修理しましょうか?うちの工房で」
「本当ですか?ぜひお願いします」
悦子の顔が急に明るくなった。
「じゃあ、いつ受け取りましょうか?」
「今からじゃダメですか?」
「良いですよ」
「じゃあ私の家に来てください、ここの近くですから」
「分かりました」

~~~~~
経済界のゲストに呼ばれたロビンは
会食会にも出席していた。
そして美佐江はその隣に付き添い通訳をしていた。
「美佐江、亮は来ないのか?キャシーが寂しそうだぞ」

亮は頭を下げた。

「いいえ、逆に声を掛けていただいて助かりました。

 リサイクル商品を譲っていただけるなんて夢のようです」

亮の女性関係は別として亮に対する感謝意は正直な気持ちだった。

「いいえ、リサイクル商品の販売が伸びれば、カバン工場の

修理部門が回転しますのでメリットがあるんですよ」

「そうなんですか。すごいですね」

 

そこに亮の元に小妹からの電話がかかって席を立った。

「亮、あなたのレシピで作ったワクチンで支配人の緒方さんの

病気は落ち着いたわ。緑川先生によると

 例のウイルスの亜種じゃないかって

「そう効いたんだね。良かった」

亮はそう返事をしながら何故亜種が作られていたか気になっていた。

「ええ、亜種に効いたなんて不思議だって先生が言っていたわ」

「そのワクチンは亜種であろうと毒性を持つウイルスにすべてに

 対応するように作った。ただ奴らがどこまで強いウイルスを

作って来るか心配だが・・・」

「それより、基地に帰ったら美喜さんやマギー。蓮華も桃華もいないんだけど」

「うん、美喜さんは蝶のホステス、マギーはキャシーのボディガードに行った」

「私は・・・?」

亮は小妹との電話を切って席に戻る途中手前のテーブル2つを叩いて行った。


「了解」

テーブルに座っていた蓮華と仁木、桃華と三雲が笑って亮を見ると

桃華が席を立った。

「お忙しいですね」

席に戻った亮に悦子が話しかけた。

「ええ、まあ。株の件でちょっと」

「株もやるんですか?」

「ええ、会社が買収、合併をするとどうしても株価が株価の高騰しますから

 その調整もあるんです」


「買収、合併の情報を前もって知ったらかなり儲かりますよね」

「もちろんです、当事者は株の高騰を当て込んで合併するんですから、

 部外者はインサイダー取り引きになりますけどね」

「じゃあ、團さんも儲かっていますか?」


「はい、もちろんです。当該株だけではなくライバル企業の

株価は当然落ちるし、グループ企業の株価は上がります。

つまり関連会社数十社の株価の変動があります。

それを読み取れば1日で数億、1週間で

数十億円の利益になります。

グローバル企業だと東京、ニューヨーク、ロンドン、香港、上海

でも取引がありますから時差の関係で休む暇もないですけどね」


「大変なお仕事をしているんですね」

自信を持って答える亮の体から大量のフェロモンが発せられ

それを吸った悦子の鼓動は早くなり瞳が黒く変化した。

 

「ところで、オーナーの方はどんな仕事をなさっているんですか?

 けっこうお金持ちそうですけど・・・」

「ええ・・・」

自分が黒崎正一郎の愛人だと亮が知っていると思っていない

悦子はそれを隠そうとした。

「そうですよね、出資金の出所はプライバシーに係わりますから」

「ごめんなさい」

悦子は次第に愛人である自分に恥じらいを感じてきた。

「オーナーさんに利益を還元すれば自分の店になって行きますよ。

 うまく行ったら、2店目は僕に投資させてください。

 支店が多い程うちのリサイクルシステムが効率よく動きますから」

「それならば・・・そうかご自分では忙しくて無理ですものね」

「はい、有能な田代さんならお店を安心して、任せられます」

「いいえ、それほどでも」

「なぜ人はブランド品が好きか?

 決して値段が高いからでは無く、美しくて丈夫で信頼がおけるからです。

 それを初めて持った時の誇らしげな気持ち、大切ですね」

「・・・ええ、今團さんに言われて思い出しました。あの時の興奮!」

悦子は自分がこれからすべきことを亮が少ない言葉教えてくれ事に

胸を締め付けられる思いがした。

「抱いてください・・・」

悦子が小さな声で言った。

「はい?」

「私の事聞いてください」

悦子は目から涙をこぼした。

「はい」

「これでいいのかな?」

「はい、ありがとうございます」

葉子が内村の問いに答えた。

「さて、今日はロビン君がゲストだそうだね」

「はい、ピーエヌエーの買収が成功したので

 ご挨拶だそうです」

「あはは、また裏で亮君が動いていたんだな」

内村はピーエヌエーのアメリカンウエブによる

買収で株価が上がりニヤニヤと笑った。

「どうしたんですか?社長ニヤニヤ笑って」

「あはは、亮君に出会えてよかったなと思ってな」

内村は自分だけでは無く娘の久美子をジェイバイオに

参画させてもらった事を感謝していた。

「私もです・・・」

葉子はそう言って恥ずかしそうにうつむいた。

「欲しい・・・」

内村は小さな声でつぶやいた。

 

~~~~~

待ち合わせの代官山の駅に悦子がやって来た。

「済みません、お待たせしました」

「いいえ、丁度7時ですよ、時間が有ったので

 先に来てしまいました」

亮は時計を見て確認した。

「先ほど選んでいただいた商品50個は明日午前中に

納品するように手続きしました。箱無しの商品を

無料で5点差し上げますので抽選会に使いましょう。

ホームページで告知してください」

「本当ですか!ありがとうございます」

「リサイクルを始めると客質が変わるので

 ホームページも若い人向けに変えなければ

 なりませんね、良かったら無料で作り直しますよ」

「そんな・・・お金がかかる事を」

「大丈夫です、自分でやりますからこう見えても

コツコツやるのが好きなんです」

「はあ・・・.團さんはコンピューター関係の

仕事をなさっているんですか?」

「いいえ、友人がコンピューター関連の

仕事をしているので、ちょっとかじっています。

安心してください良いホームページ作ります」

亮の調子の良い言い方は悦子には

下心があるように思えてならなかった。

「どうしてそんなに親切にしてくださるんですか?」

「そうですね、田代さんが仕事に成功して欲しいから

 です」

悦子は亮が賢いのか馬鹿息子なのか分からなくなった。

 

亮と悦子はシャンパンで乾杯をすると

前菜のテリーヌが運ばれて来て

一口食べた亮は驚いて目を丸くした。

「美味しい、さすが半年も待つお店ね」

悦子の声が聞こえ亮が顔を上げた。

「ええ、とても美味しいサーモンのテリーヌです」

悦子は急に穏やかになって亮に質問した。

「團さんの回りにたくさん女性が居るようですが

決まった女性いるんですか?」

「えっ、ええまあいますよ」

亮の返事は歯切れが悪かった。

「そうなんですか、決まった女性はまだいないように思えましたわ」

「そう見えますか。誤解させて済みません」

「團さんの会社はどんな仕事をなさっているんですか?」

悦子は今一番知りたい事だった。

「主にマネージメント業務をしています。企業と企業を

 結び付けアドバイスする仕事です、アメリカの大学で

 経営学を学びました。異業企業の合併によるマーケットの拡大、および

そのリスクの解消。人的資源管理の概念と理論的背景、経営戦略のプランニング

プログラムです。つまり田代さんの店を見た時、投資金額、

売上などを分析してもっとも良い営業プランを立てている訳です」

「すごい!それでいきなりうちの店の経営状態を言ったんですね」

悦子は亮の分析力の凄さに目を見張った。

 

「いきなり立ち入った事を言って済みませんでした」