グッド・ジョブ媚薬8 黙示録82 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「大切な人を裏切ったんです」
「まさか悦子さんがそんな事を・・・」
亮が優しく言うと悦子は自分の事を話し始めた。
「私は岩手県から上京して銀座で働きました。
その時のママが何も知らない私をまるで
身内のように面倒を見てくれてたんです、
 そしてママが初めて買ってくれたルイビトンのバッグ、
とても嬉しくて
 1日中眺めたり、枕元に置いて寝たりしていた」

その時の映像が頭に浮かんだ悦子の目から流れる
涙は止まる事が無く
亮が思わずハンカチを悦子に渡した。
「ごめんなさい・・・」
亮は悦子が謝った相手は蝶のママ絵里子だと分かっていた。
「裏切ったと言うのはどう言う事ですか?」
「ええ、でも・・・」
「ここでは話し難いですね。メインディッシュと
スイーツを食べてから
聞かせてください。
 甘い物を食べると心が穏やかになります」
「はい」

悦子はそこにコック帽をかぶった男が亮の脇に立った。
「いらっしゃいませ、團様」
「うっ」
亮は思わず食べ物を喉に詰まらせた。
「料理はお好みに合いましたでしょうか?」
「美味しいです。特に鶏肉のポアレ
皮の焼き具合が最高です」
「ありがとうございます。田代様、私の
拙い料理満足いただけましたでしょうか?」

「はい、とても美味しくいただきました」
「ありがとうございます。またおいでください」
シェフは深くお辞儀をして厨房に戻って行った。
「料理長が挨拶に来るなんて嬉しい」
「そうですね」
「さっきから気になっていたんですけど、
どうして團さんと私の料理が
 違うんですか?私は牛肉、團さんは
鶏肉それに團さんのサラダには
 鮭の皮が入っていたわ」

「そうでしたか?シェフがお客様の好に
合わせたんじゃないですか?」
「そうかそれだったら凄い!」
すると亮の携帯にメールが来た。
「亮、今日の料理にはチーズと牡蠣をたっぷり
使ってあるから女性は興奮状態だ。
 彼女に出してあるお酒、強くしてあるからな
 頑張れよ。by亀山」

※亀山言ったチーズにはフェネルチアミンと言う
 覚醒、幻覚作用を起こす成分がチョコレートの
10倍の成分が含まれている。
また牡蠣に含まれている成分亜鉛には
テストステロンと言う
性ホルモンがある。

「ありがとうございます」
亮は亀山がル・シェルシェフと
知らされていなかったので
礼を言うのがやっとだった。

「興奮状態って!ここにいる女性全部!」
亮がつぶやきながら周りにいる数人の
うっとりした目の女性と目が合った。

そして亀山と入れ替わりに席に戻ってきた
桃華がニコッと笑った。
「ママさんにプレゼントしてもらったバッグの状態
 どうですか?」
「・・・かなり傷んでいます。1年くらい毎日持っていましたから」
「修理しましょうか?うちの工房で」
「本当ですか?ぜひお願いします」
悦子の顔が急に明るくなった。
「じゃあ、いつ受け取りましょうか?」
「今からじゃダメですか?」
「良いですよ」
「じゃあ私の家に来てください、ここの近くですから」
「分かりました」

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経済界のゲストに呼ばれたロビンは
会食会にも出席していた。
そして美佐江はその隣に付き添い通訳をしていた。
「美佐江、亮は来ないのか?キャシーが寂しそうだぞ」