ホラー小説 地獄タクシー 一章 双鬼 ⑥ | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「ああ、しかし右へ行ったり、

左へ行ったり困ったな」

鬼はジグザグに走って

レインボーブリッジへ向って行った。

「おお射程圏内はいったぞ」

礼司はライトをハイビームにした。


ライトを浴びた鬼は白くなって、

走りが遅くなった。

「やった、10・9・8それでも

時速100キロか・・・。」

距離はどんどん縮まり、

「2・1」車は双鬼の尻に当たって

橋の欄干まで跳ね飛ばした。


「やった」

「だめよ、弱すぎた。生きている」

鬼はぶるぶると首を振って立ち上がった

「おい、びくともしなじゃないか」

「うん、再生しちゃうから」

「最初からやり直しか」

「遠慮したらだめよ。相手は鬼だからね」


「わかっているけど、人を轢いた経験が無いもんでね

一瞬スピードを緩めてしまった

「うふふ」

「後2回か」

「後6分ね」

また逃げ出した双鬼を追いかけながら

「おい、この鬼バカだな」

「どうして?」

「ジグザグが三拍子、ワルツだ」

「1.2.3. 1.2.3本当だ」


礼司はタクシーの方向を、鬼に向けハイビームをあて、

鬼の脇を通りすぎ橋の端まで行ってスピンターンをすると

アクセルを思い切り踏んだ。

「うまい、夜野さん」

「行け行け行けー」

車は加速してスピードが180キロになった

「もう一回」

ライトをハイビームにして双鬼に当てると

鬼は右の欄干沿いに走った。


つづく