うちの姑には趣味がない。




趣味がない・・というか、私が家に入るまでは家事が趣味だった。




自分の兄弟が経営している会社を定年退職して家に居るようになってから、もう何年も経つが、未だにテレビと孫の世話だけが楽しみのようだ。




会うたびに、毎回毎回




「もう毎日、暇で暇で・・。」




と言うので、色々お金のかからない趣味を勧めてみたが、一向に始める気配なし。




自分で車も運転できる人なんだから、近くの図書館くらい行けばいいのに。




結局何か始めてみようとか、自分で動いてみようとかいう気はさらさらないのだ。




じゃあ暇とか言うな。




私に相談するな。




姑は、徹底的に舅に男尊女卑の考えを叩き込まれていて、どんな理不尽な事を言われても、舅や息子(私の旦那)には逆らえない。




それが証拠に自分の娘(旦那の姉)には驚くほどの口調で話す。




自分の亭主や息子にまで作り笑いしたりおべっかを言ったりしている。




明らかに思ってもいないことをヘラヘラ笑いながらしゃべる。




傍で聞いていると気持ち悪い。




そしてそういう行動を私にも強要させようとする。




前に姑達の前で旦那と言い争いになったことがあった。




明らかに誰が聞いても旦那に非があることだった。




後で私一人が姑達の部屋に呼ばれて言われた事が




「女はね・・男が間違っていても、3歩さがって引き下がるものなのよ。そうしていれば家庭はうまくいくの。」




この人、可哀そうなひとだな、と思った。




そうしたいなら自分は一生そうしていればいい。




私はまっぴらごめんだ。




姑と同じような生き方だけはしたくない。





姑がまだ働いていた時の事である。




まだ新婚当時、夕食の準備は私が引き受けていた。




旦那のみならず、仕事をして疲れて帰ってくる義両親の為にも、下手ながらおいしい夕食を食べさせてあげたくて一生懸命だった。




準備をしている途中に、いつも姑が裏の勝手口から帰ってくる。




勝手口は台所のすぐ横にあった。




ある日から突然、それは始まった。




ガチャッ!とドアがあく。




姑が入ってくる。




当然私は、




「おかえりなさい!」




と声をかける。




返事がない。




何も言わずにリビングへ入っていく姑。




それからは毎日無視、返事はなかった。




最初は何か私が悪いことをしたのかな?と思った。




そうではない。




実際そんな覚えもない。




性格がお互い丸見えになった今なら解る。




私が家に入ることによって、自分の唯一の趣味である居場所がとられたと感じていたのだ。




ただ例外の日があった。




たまたま旦那が休みの日で、一緒に台所にいる時だけは、




「ただいま~」




と機嫌よく返事が返ってくるのだ。




つくづく、可哀そうな人である。



ここ2,3日、下の子が高い熱を出していた。




まだ小さいので、いつにもまして私の傍を離れない。




当然お風呂には入れない訳で、私もそれに合わせて3日間風呂無しだった。






話が少しずれるが、うちの旦那は子供が小さいうちは、絶対に子どもと一緒にお風呂には入らない。




今2歳前の息子は当然一緒には入らないし、上の子も一緒に入るようになったのは自分で身体が洗えるようになってからだ。




理由を聞いたら、




「赤ん坊は怖い。(湯船に落としたりしたら・・とか、目に石鹸が入ったら・・とかいう事)」




らしい。




母親だってそれは同じだ。




知り合いに、お風呂はパパの仕事、と言っている人が何人かいるが、うちではありえない。




それはさておき・・






夜も九時をまわっていたので、旦那に上の子と一緒にお風呂に入ってくれるように頼んだ。




すると、




「俺が下を見てるから、お前一緒に先に入れ。」




と言う。




理由は分かっている。




自分が見たいテレビがあるからだ。




3日間風呂無しの私は、これ幸いと上の子とお風呂へ。




久々のお風呂でゆっくりしたかったが、下の子がぐずるといけないので、湯船にも浸からず、ほとんどシャワーだけ浴びるように急いでいた。




服を脱いで、5分ほどだった。




急いでシャンプーをしている時である。




当然だが、身体中泡だらけだ。




「おい!!早くしろ!!!こいつ(下の子の事)、もう限界だぞ!!」




確かに下の子はグズグズ言い始めていた。




しかし、服を脱いで5分・・




全身泡だらけの今の状態で私にどうしろと・・?




「そんなこと言ったって、仕方ないじゃない。私が出るまでの間くらい、なんとかしててよ!」



バタン!バン!




とたんに風呂ののドアと部屋のドアが続けて、すごい音をたて、閉まる。




部屋で何にあたっているのか、




「ドタン!!バタン!!ガンガンガン!!」




とすごい音がし始める。




ああ、まただ・・。




また始まった。




何か気に入らないことがあると、旦那は私と子供には手は出さないが、モノを壊す。




上の子が、




「ママ・・・またパパがバンバンしてるよ・・・」




と言う。




子供もまだ小さいのに、もう充分に旦那の性格を分かっているのだ。




旦那と一緒にいる下の子の声が、ぐずる声から鳴き声に変わる。




私は凍りつく。




結局髪を洗っただけで、身体は洗えなかった。




それでも、出たら言わなくちゃいけない。




「ありがとう。」




と・・・・。



結婚して私は専業主婦になった。



姑は当時まだ働いていたので、家のことを私が引き受けることになった。



当然昼間1人で家にいるわけだが、いつも舅が突然、会社を抜け出して帰ってくるのだ。



営業のような仕事だったため、容易に抜け出せたらしいが、こっちはたまったもんではない。



昼間の一人になれる時間がどれだけ大切だったか・・。



おちおち昼寝などしていられない。



何をしに帰ってくるのかというと、鼻をかみにきた・・とか、下らない理由ばかり。



そんな生活が続いていた頃、昼間に毎日のように無言電話がかかってくるようになった。



取った瞬間に切れる。



多いと一日に3~4回。



旦那は夜勤があり、昼間に家にいる事も多かったのだが、なぜかその電話がかかってくるのは私が一人の時だけだった。



旦那に話すと、



「俺の携帯にも最近よくかかってくるんだよな~?」



と。



(察しの良い方はもう話のオチはお分かりだと思うが・・)



当時はまだ携帯も家の固定電話にもナンバーディスプレイが付いていなかった。



あんまり毎日しつこくかかってくるので、気持ち悪くて、夕食の時、舅と姑にも話してみた。



「ここのところ毎日昼間に無言電話が何回かかかってくるんだけど、お義
父さんとお義母さん、何か心当たりある?」



舅はビールを何本か空けた後で、酔っていた。



そしてなぜか満足げに言った。



「ああ、ワシや!!昼間暇な時、家の電話とか▼▼(旦那の名前)の携帯にイタズラでかけたるんや!!」



食卓の空気は凍りついた。



なんで???



何のために???



それにアンタは暇でも、こっちは暇じゃない・・。



旦那は怒りたくっていた。まあ、当たり前だが・・。



私がいるかどうか確かめたいのかと思ったが、そうではないようだ。



本当に本人が言っているように、思いついたとき、いたずらでかけていたらしい。



まったく意味不明。



未だに何であんなことをしていたのかわからない。



わかりたくもないけれど。



ただとにかく気持ち悪いだけだった。



舅は一言で言うと頑固な人だ。



姑の口のきき方が気に入らないと、三、四日、口を聞かないこともよくある。



そしてとにかく空気が読めない。




以前一緒にショッピングセンターに買い物に行った時、駐車場で若い女の子がバックで駐車しようとしていた。



すると頼まれてもいないのに、いきなりそこに駆け寄り、大きく手を振りながら、



「バックオーライ!!バックオーライ!!」



とし始めたのである。



ものすごい大きな声と大げさな手ぶりに、周りの人は大注目。



降りてきたギャル風の女の子は、せせら笑いで、



「はは・・ありがとう・・・・」



と、明らかに迷惑そうだった。



その空気が読み取れない舅は、



「気にせんでええよ!!!ワシもいつもバックで苦労するんじゃ!!」



と自信満々に言っていた。



舅が後ろに立っていなければ、女の子はもっと早く駐車できていた。



こんな具合で、人に親切しているつもりでも、逆に迷惑がられていることが非常に多い。



そして迷惑がられていることに気がつかないことがほとんどだ。




結婚後、まもなくの話。



当時キャミソールワンピースが流行っていて、私も気に入った物を、出かける時にはよく着ていた。



身支度を済ませ、玄関に向かう私に



「なんや~!お前、そんな恰好しとったら、ジイチャン(自分のこと)、ムラムラしてくるやないか~!!」



は!?



何を言っているのか、解っているのだろうか、この人。



KYなだけじゃなく、エロジジイだ!



生理的に気持ち悪くなった。



あんたに見せるために着てるんじゃないわ!!と言いたかった。



多分冗談のつもりで言っているのだろうが、言われた方はそう思えない。



ただ気持ち悪いだけだ。



「たまには〇〇も、普段の日に着物来てくれ!ジイチャンはそのほうがうれしい!!」



と本気で言われたこともある。



今の時代に何を言い出すのか・・。



しかも私は舅の奥さんではない。



ちなみに姑が着物を着ているところなど、一度も見たことがない。



この人、何か勘違いしてる・・。



私の中に元々あった警戒心がどんどん膨らんでいった。



姑は結婚前、よく旦那に、



「私はかわいがられるおばあちゃんになるわ!」



としきりに言っていたらしい。



私も当時はその言葉を真に受けていた。



今思えば言ってることはもっともらしく、いかにも姑らしいが、中味のない言葉だ。



私がそう思うようになったエピソードを色々紹介していきたいと思う。




結婚式の衣装決めの時、旦那のタキシードを最初は白にする予定だった。



姑が



「〇〇に白は似合わないわ!グレーにしましょう!」



と勝手に変更された。



頭にきたが、そんなことくらいでと我慢した。



新婚旅行はパリへ行った。



私が言い出したことだったので、自分の旅費は自分が独身時代ためたお金で出した。



車道楽しっぱなしだった旦那はもちろん貯金などあるはずもなく、親にすべて出してもらった。



旅費が高かったので、その分現地で使うおこずかいは少なめにした。



それでも姑には結婚前にもご飯を毎回ご馳走になったり、これからのこともあるので、その意味を込めてLVのバックをお土産に選んだ。



私の実家の母にも同じものを選んだ。



それだけで結構な出費だったが、二人が喜んでくれたらいいな!と思い、迷わず買った。



帰ってきて二人に別々に渡した時の第一声である。



ちなみに同じバッグであることは伝えていない。



私の母

「わあ~!ありがとう!!高かったんじゃない?二人とも気を遣わせてごめんね。大事にするわ!!」



「小さいわ。こんなことなら私がお金足して、もう少し大きいの買ってきてもらいたかった。」



ありがとう・・の言葉は一度もなかった。



私は買ってきたことをすぐに後悔した。



とても悲しい気持ちになった。



さすがにこのときは旦那も怒って、色々言ったようだが。



私の受難の日々の始まりだった。