不意の雨がこの日のピークを迎えるタイミングで、
前半の正念場、富士北麓公園への上りに差し掛かった。
雨よけのウエアを再度身にまとうランナーも少なくなかったが、気温が高い上に局地的な雨であれば、何もしなくて問題ない。
足の疲れが出てきているが、そこそこのボリュームとはいえ、この上りを歩き通すほどの時間的な余裕はないし、最後にこれ以上の勾配が待っているのであれば、ここはしっかり走っておきたい。
昨年と同じく、ローギアでも確実にグイグイと、リズム良く走っていく。
憂鬱な時間はなるべく早く終わらせたい。数十人ほどのランナーを追い抜いて、38km。富士北麓公園の関門を15分の貯金で通過。
ここのエイドで一息・・・の、つもりだったのだが、
「水がないよ!」
テーブルの前には「水待ち」のランナーが多数。100kmの第3ウェーブは、全体の走行順では最も後ろになる。このエイドも最後に訪れるブロックになるとはいえ、水切れは想定外だった。
待っていても仕方ないので、そのまま先を急ぐ。
さらに1kmほど進んだ、フィールドセンターにある自販機へ。
小銭は持っておこう。たくさん持っておこう。
昨年も書いたが、自分で水分補給を工面するのも、完走を近づける方法。
富士五湖のコースにはたくさん自販機がある。飲みたいものを飲めばいい。
下りに入る。
昨年はここでブレーキが利かず、両足の人差し指が水ぶくれ+爪が剥がれるという残念な結果になった。
今年はしっかり、かかとと親指の着地をしっかり意識して、前につんのめらないように、ヒザをしっかり使って・・・うまく下りきることができた。
40kmの通過が4時間7分。予定通り。
河口湖に入って、沿道もより賑やかになる。
往路は河口湖の長さが堪え所になる。
まだか、まだか、西湖につながる坂はまだか・・・と思いながら湾曲の1つ1つをクリアしていく。
両太ももが痛み出してきた。でも歩きたくない。
50kmを過ぎても「あと半分」というより「まだ半分」。フルマラソン以上の距離が残っているのに、この足の重さでいけるのだろうか・・・と、毎年思いながら走る往路の河口湖。
56km、足和田出張所の関門も15分の貯金。
雨もあったので、ここでウエアを着替えてひと息挟む。
道は西湖へ。
戻ってくるランナーがだんだんと増えてくる。しかしもともとスタートの時間が早い人たちなので、気にしてもしょうがない。
雨もすっかり上がり、日差しも出てきた。太ももの痛みをエイドの水で冷やしながら、西湖を抜けて野鳥の森公園へ。
今年は長居しなかった。そそくさと吉田うどんを食べ、短いようで長い精進湖への道。
陸橋から下に広がる青木ヶ原樹海は見ることなく、目の前に集中する。
これも短いようで長い精進湖の1周。
足はまだ動いている。ヒザもしっかり前に出ている。道中のペースも落ちていない。
1人ずつ前のランナーを追い抜くことができているのが、気持ちを少し楽にさせた。余計なことは考えず、視線をキョロキョロさせることもなく、とにかく集中・・・
70kmを9時間。つまり残り30kmで5時間の余裕があれば「安全圏」という物差しで考えている。
70kmの通過は幸い、9時間を切ってきた。
精進湖を走り終わった後の関門を通過。もう関門に対して神経質になる必要はない。あとは足を止めないよう、富士北麓公園へ帰るだけ。
一気に上っていく陸橋の復路。
野鳥の森公園へと戻っていくダラダラとした上り。
ここからは、1つ1つの難所を潰していく繰り返し。呼吸筋も苦しくなってくる。
それでもここからは一歩一歩、気持ちで走っていく。
復路の西湖。
ここで、忘れられない光景が目に入った。