アメリカ赤十字から99億円寄付!
でもこのお金は日本在住アメリカ人の自国避難資金に使用されているとか?
合理的なアメリカらしいとは思ったけれど裏切りのような嫌悪感がします。
というコメントをいただきました。
今日は、このことについて、わたし個人の意見を。
まず、このコメントを読み、一瞬、99億円がそっくり日本在住のアメリカ人避難に使われちゃったのかしら、と思ってしまった早合点なわたし。
でも、常識をちょっと働かせて考えると、そんなことはありえないですよね。
アメリカ赤十字からのお金は日本赤十字にまずは託されるわけですが、日本赤十字がすでに受け取っているのは1千万ドル。
ですが、日本赤十字は、災害の全容を把握する調査や、政府や国連関係の機関との調整中で、(やっと使途が決まったようですが)、この噂が流れた時点ではまだ集まったお金に手をつけていませんでした。(それで世界中から叩かれ、すごく気の毒な気がします)
また第二に、アメリカ人をはじめとする外国の民間人がパニクって引き上げたのは、噂が出た30日より1週間以上早い時期のことです。
それも、米軍従事者の家族は、アメリカ政府が面倒をみるでしょうし、企業から拝見されている人は企業が民間機などをチャーターして避難させた模様。
一部学生さんとかどこの大企業にも属しない人、観光客などで出遅れた人もいるかもしれません。
仮に、その人たちを避難させるのにアメリカ赤十字のお金が使われたとしても、常識的に考えると、どんなに気前よく見積もっても数千万円以下って感じじゃないでしょうか。
一体このニュースのソースはどこぞ、と検索をかけてみたところ、
3月30日付け、共同通信のこちらの記事のようです。
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011033001000238.html
そして問題の個所は、ここ:
【ワシントン共同】米国赤十字社のボニー・マッケルビーンハンター理事長は29日、東日本大震災を受けた義援金が総額で1億2千万ドル(約98億9千万円)超に上り、近く5千万ドルを日本赤十字社に送ると明らかにした。藤崎一郎駐米大使との会談に先立ち、ワシントンの在米日本大使館で記者団に語った。
義援金は震災直後から集まり始め、既に1千万ドルが日本赤十字社に渡っている。
総額の大部分が日本赤十字社に送られるが、一部は国連機関や日本に滞在する米国民の避難費用に回るという。
なるほど~、コメントをくださった方のソースはこのニュースだったんでしょうね。
ただ、このニュース記事、あまりに簡単に締めくくっていて、青字で示した部分の情報は、アメリカ赤十字の理事長が記者団に語ったもなのかどうかは、ビミョーな感じ。
この文章からは、実際に米国民の避難にお金が使われたかどうかは、判断できません。
でも百歩譲って、アメリカ赤十字が、寄付金の一部を国連機関や米国民の避難に使ったとしたら・・・・。
わたし個人は、それもいいんじゃないかと思うの。
まずは、こんなふうに考えてみてはいかがでしょう。
たとえば仮にサンフランシスコで大地震が起こったとします。日本赤十字は早速義援金として国内で五十億円を集めました。
このとき、場所が場所なだけに、たくさんの邦人もサンフランシスコで被災したとします。
中には、観光で来ていた人、学生として被災した人も多く含まれるとします。
また、近くで似たような原発事故なども起こり、まさに今の日本と同じ状況になったとしたら。
震災規模が想像を絶する大きさで、現地のアメリカ政府も大混乱状態。
特に原発事故は、一体どの程度の規模に発展するのか想像もつきません。
そんなとき、仮に日本赤十字が国民から集めたお金を、同邦人を救出するために一部使うのは、理にかなったことではないかと思うのです。
ここで混同してはいけないのは、赤十字という団体の本部はスイス国籍であること。
また、アメリカ赤十字は、米国政府とは関係のない非営利団体であることです。
つまり、赤十字には自分たちが信じるチャリティを展開する権利があります。
ということで、わたし個人は、アメリカ赤十字がもし、本当に義援金の一部を国連関係者、ならびに米国市民の避難のために使っていたとしても、それが何らかの規制や条約などに違反するものでなければ、問題ないと思うのです。
でも、だからといって、アメリカは、自国民のことしか考えてないわけではもちろんありません。
世界中から国際赤十字宛てに集まってきている義援金の40%以上はアメリカで集めたもの。
今は、こんないい友達(アメリカ)に感謝こそすれど、文句をいうのは申し訳ない。
日本のチャリティ団体が日本人を救出することを一部使途にしたからといって他国から責められる筋合いはないのと同様、アメリカのチャリティ団体が一部を今回の災害関連で自国民のために使っても当然ではないかというのがわたしの意見です。
ちなみに、ルース駐日米国大使は、東北地方の被災地現場をすぐに訪問。
避難所で見知らぬ子供と温かみのあるハグをしたり、被災者達を前に涙声で感想を漏らしたりし、大歓迎されました。
同時に大使館側ではルース大使の Twitterアカウントを使い日に10回くらいの頻度でさかんに大使の被災地訪問の感想やあるいは米軍の支援活動の様子を刻々と伝えているそうです。
(ニュースソース;http://takaogross.blogspot.com/2011/03/blog-post_24.html )
みなさんもご存じ、米軍のホントありがたい「トモダチ作戦」は、辛抱強く長期間続ける覚悟だと、ウォルシュ主司令官が語っています。
空母、ロナルド・レーガンなど、最大20隻以上を出動させ、自衛隊とは毎日連絡を取り合い、物資輸送や、行方不明者の捜索を続けています。
「日本は何を必要としているのか、我々には何ができるのかを常に緊密に話し合っている」そうな。
うれしいじゃありませんか。
(ニュースソース:4月9日付、日経新聞国際版)
また、4月中旬には、ヒラリー・クリントン国務長官も来日予定です。
20年住んでみて最近しみじみ感じることだけど、
アメリカ人って、元がみんな移民の集合体だからでしょうね。
異なるものと一緒に共生するのがとても上手。
違うものも認め、いたわり、両者を生かす重要性を小さい時から教えているからでしょうか。
多くのアメリカ人の純粋なGivingの気持ちはホンモノだと思います^^
繰り返すようだけど、アメリカ政府と、ノン・ガバメント・オーガニゼーション(NGO)であるアメリカ赤十字はここでははっきり別に考えたほうがいいと思います。
追記
ココア さんからコメントをいただきました。アメリカ赤十字のHPに献金の一部を米軍の家族や市民の避難のために使ったと記してあると教えていただきました。
ありがとうございます!