私は、この辛いピアノから解放されるんだと天にも昇る気持ちで父と一緒に先生のおうちへ行きました。
玄関先で父が先生と話をします。
父:「すみませんけど、娘がどうしてもピアノを辞めたいというので、せっかくお世話になりましたが辞めさせてもらいたいと思います。」
私:「お世話になりました。どうもありがとうございました。(うきうき(^u^)」
とーこーろーがー!!!
先生:「どうして辞めちゃうの。先生悲しい~。どうしてぇ~。とりあえず上がってください・・・」シクシク・・・
なんと、先生がそう言って泣いてしまった。
(実はS先生、アグネスチャン似の超美人なのだ。)
レッスン室のソファに父と私は座らされた。
先生:「どうしてやめるの?もう少しがんばってみましょうよ。」シクシク・・・・
先生は泣く。
父:「カナ、先生もこう言っているし、もう少し頑張ってやってみたらどうだ。」
私:「やめたい」
父:「いや、もう少しやってみなさい。ほら、よろしくお願いしますって言いな。」
私:(ガーン!!こっちが泣きたいよ!!)
父は、娘の涙より美人先生の涙に弱かったのだ。
帰りの車の中で、父に恨み事を言った。
「せっかく辞めれると思ったのに。お父さんも辞めていいって言ったのに。ひどいよね!!」
「だって先生かわいそうだべや。」
「私のほうが可哀そうだ。お父さんは先生の恐ろしさを分かっていない!!」
「まぁ~もう少しやってみれ。」
この日のことは20年くらい経った今でも鮮明に覚えている。
結局私は、ピアノを辞めることができず、さらに数年間、鬼のレッスンに通うことになってしまう。