鯖学☆(サバガク)64

☆聖夜の鐘 -ange lsong-☆⑤

「一番大切な人」

 

 

ブログ小説です☆

高校二年生の主人公、新宿ネロの学園ストーリーがメインとなるお話しです☆

 

※注意!「聖夜の鐘編」続編モノです☆本編を読む前に前回のお話しを読む事を推奨します

 

前回のストーリーは、こちら

https://ameblo.jp/rum-xxx-03/entry-12564570628.html

URL をクリックすると前回のストーリーが読めます。

 

 

【本編】

 

クリスマス会前日の夜だった。

ここ、渋谷軒(渋谷レイジが営むラーメン屋)では、ようやく洗い物と翌日の仕込み作業が終わった。

 

「ふむ。よーやく終わったか・・・実尋、明日は学校休みだったな?」

レイジは、実尋に訊ねた。

 

「うん☆お休みだよ!明日は、1日店の手伝いができるね~♪」

電話を終えた実尋は、スマートフォンをテーブルに置いた。

 

「うーむ、しかし明日は学校のクリスマス会が行われる日では無いのか?去年は、生徒会の関係で準備やら色々参加していたのだが・・・今年は、あまり準備事にも関わっていないよーだな?お前は生徒会、辞めてしまったのか?」

レイジは、実尋に訊ねた。

 

「いやいや~生徒会は、辞めていないよ~。ただ、冬になるとさ、ここ(ウチのラーメン屋)忙しくなるじゃない?だから、今年はクリスマス会の準備とかパスして、色々手伝おうかと思って☆」

実尋は、笑って答えた。

 

「ふっ、見くびるんじゃない!あれくらいの混雑、俺一人でさばいて見せるさ。お前俺のラーメン一つで育てて来たんだぞ?」

 

「またまた~昨年火傷しちゃったクセに~。クリスマス会やってた時に病院から電話かかって来ちゃった時・・・慌てて体育館飛び出しちゃったんだよ?」

レイジは、実尋に昨年の事を指摘され、後頭部をかきながら、「アレは、その・・・」と口ごもった。

 

 

 

 

Day 24

 

クリスマス会当日がやってきた。

 

本日は学校は休日であり、17時頃からクリスマス会が開催される事になっていた。

 

 

「はぁ、なんでクリスマスになると私って風邪引いちゃうんだろ・・・もしかして、私って罰当たりなのかな?」

恋華は、風邪がまだ治っておらず家で寝ていた。

 

恋華は、ぼんやり時計を見た。

「16時かぁ・・・ホントなら、今頃電車に乗って学校に向かって、クリスマスツリーの前でみんなと写真撮ったり、美味しいケーキ食べたり、・・・あぁ~・・・考えるだけで憂鬱だわ・・・もぉ、なんで私だけ・・・家で布団の中にいるのよー。」

恋華は、布団の中で独り言を言いながらイライラしていた。

 

コンコンコン

 

「恋華ァ~居るか?」

ドアをノックする音と男の人の声が聴こえてきた。聞き覚えのある声だった。

 

「えっ!」

恋華が慌てて布団から起きようとすると、既にドアが開き、声の主が部屋の中へ入ってきた。

 

「ちょっと、アンタ!!」

声の主は、新宿ネロだった。

「よー。見舞いに来たぞー?」

ネロは、恋華が寝ている布団の前にしゃがみこんだ。

 

「今日クリスマス会じゃないの?みひろんにクリスマスプレゼント渡すんじゃないの?」

恋華は、布団に座った状態で上半身だけ起こしてネロに訊ねた。

 

「いや、昨日さぁ・・・渋谷の奴、家の店番あるとかで来ないとか行ったんだよなぁ~。まぁ、渋谷には、後日プレゼント渡せば良いと思って、お前んとこに見舞いに来た。」

 

「ちょっ/////・・・」

恋華は、一瞬顔を赤くした。

 

「色々、なんだかんだで・・・お前には、世話になる事も多かったしな・・・見舞いにくらい顔をだすのが筋ってもんだろ?」

 

「あのねー!!みひろんは、学校でアンタの事を待ってるのよ!」

恋華は、風邪を引いてるが気合いで起きて、ネロを玄関まで押し出した。

 

「えっ?」

「私、みひろんに昨日電話したら、ちょっとだけなら店を抜けれるって言ってたのよー。学校でアンタが、プレゼントを渡しに行く事を伝えたら、学校にも顔を出すって・・・みひろんが・・・」

「おい!!・・・何で昨日(前話)の話と急に変わるんだよ!」

「だから、私が昨日(前話)の夜に電話で話したんだって!!」

 

※解らない方は、前話を参照にw

 

「良い?こんな所で油売ってる暇あったら、みひろんの所(学校)まで行ってプレゼント渡して来なさい!」

「うわっ!!もう、こんな時間か!!電車に間に合わねぇ・・・」

「今日雪が降るって、天気予報で行ってたのよ!みひろんが風邪引いちゃったらどーするのよ!!!」

「今から、タクシーを拾うか・・・うーん、タクシー代結構かかりそうだなー・・・」

 

「電車より、早く!!アンタの足で走れば良いのよ!」

「ムチャ言うなよ!くっそー!!」

ネロは、全速力で走り始めた。

 

ネロの背中は、あっという間に小さくなった。

ネロの走っていく背中が見えなくなると、恋華は静かにその場に座りこんだ。

 

 

-お見舞いに来てくれて、ありがとうね・・・クリスマスは、風邪引く事が多くて・・・いつも一人なんだ・・・みひろんの事は、一人にしちゃダメだよ-

 

恋華は、小さな声で独り言を言った。

独り言を言った後、当然の様に誰からも返事がない。寒い外で誰も居ない町並みを見ていると、自然と涙が頬を伝って流れ落ちた。

 

-みんなと一緒にクリスマスに参加出来ないのが寂しいのかな?-

 

-大崎くんに会えないから??-

 

-違う!!-

 

-何でだろう・・・なんだか、胸が痛い-

 

恋華は、パジャマの袖で瞼こすった。

 

「何で、今日ここに来たのよ!!!・・・」

大粒の涙を拭いつつ、誰も居ない町並みに向かって一人大きな声で叫んだ。

勿論、文句の言いたい相手は今は居ない。

 

 

☆☆

 

 

新宿区鯖船町の高校の正門前で、一人静かに待つ実尋。

昨日の夜、恋華からの電話を聞き、クリスマスプレゼントを渡す為にネロがここに来る事になっている。

 

ーー好きな時に、好きな場所で、好きな人と////好きな様に過ごして欲しい・・・それが、子を思う、親の願い・・・か/////

 

実尋は、ここに来る前にレイジと話した事を思い出して一人で笑った。

 

 

 

渋谷軒(渋谷レイジが営むラーメン屋)では、ピークの時間(お客様が一気に押し掛ける時間。)が過ぎた頃、ラーメンのどんぶりを片付けながら、レイジは実尋に話した。

 

「実尋、お前が俺の事をお父さんと呼ばなくなった時の事を覚えているか?」

「えっ、あ・・・覚えてるよ☆」

「お前が、小学生五年生の頃、俺は真実を打ち明けたんだ・・・お前は、血の繋がった俺のホントの娘じゃない・・・とな・・・」

「うん☆良く覚えてるよ、何となくだけと薄々感づいてたんだ☆ぶっちゃけ、顔♪似てないしね☆」

「ふっ、そうだな☆それから、お前は俺の事をレイジさんと名前で呼ぶようになった。その時話した、理由も覚えているか?」

「///////うん、良く覚えてる・・・だから、今でも、名前で呼んでる☆」

 

-これからは、レイジさんって名前で呼ぶね!だって血が繋がっていないなら、結婚出来るじゃん☆-

 

-結婚したらさ、ホントに家族になれるんだよ☆-

 

「ホントに、お前は恐ろしい事を言う娘だと思った。それと同時に嬉しいという気持ちも、少しあった・・・」

「へへへ/////」

実尋は、照れ笑いをしながら、炒飯の皿を洗い始めた。

 

「だかな、もしも、ホントに俺の事を思っているなら・・・お前には、幸せになって欲しい・・・」

「ん?今でも、私は幸せだよ?」

「ふっ、じゃあ言い方を変えよう・・・俺が生きている間に、孫を抱かせてくれ☆お前が見つけた一番好きな男の子供をだ!」

「・・・・・・・」

「そして、俺の目の前で、その子と幸せそうな顔をして俺の作ったラーメンを一度で良いから食べて欲しい・・・そんな幸せが、あっても良いと思う。」

 

 

 

実尋は、高校の正門前で手に息を吹き掛けた。

「好きな時に、好きな場所で、好きな人と////好きな様に過ごして欲しい・・・それが、子を思う、親の願い・・・か/////」

実尋は、レイジから店で言われた事を一人呟いていると・・・・駆け足で一人の男性がやってきた。

 

「あ、渋谷。その・・・ワリィな、待たせちまったか?」

新宿ネロが実尋の待つ正門へ到着した。

「あっ、新宿クン・・・」

実尋は、目をそらした。

 

「あっ、その店番とか大丈夫か?あの、もし良かったら、俺・・・手伝うぜ?」

ネロは後頭部をかきつつ話した。これからプレゼントを渡すという緊張感からか、つい照れ隠しで何かを誤魔化す心理が働くと無意識に後頭部をかいてしまうクセがある。

「ぅうん・・・大丈夫。ワタシ、直ぐに戻るから・・・」

実尋は、ネロと目を合わせなかったが声はハッキリとしていた。

「あっ、その・・・これ・・・」

「聞いて!!」

ネロは、クリスマスプレゼントを渡そうとすると、実尋は目を逸らした状態でネロの後に続く言葉を遮る様に言った。

 

「ゴメン。先にワタシの話を聞いて!!昨日から、色々考えたんだ・・・代々木さんの事とか、新宿クンの事とか・・・」

「あの時、新宿クンは代々木さんの事、本気で好きだったのは、良く伝わった・・・正直、あの現場は、見ない方が良かった!!新宿クンのキモチ、知らない方が良かった!!」

実尋は、声を大きくして言った。

 

「このまま、何も知らないままなら、ずっと・・・夏休みの旅行時と・・・」

 

「あの時と、同じキモチで居られたと思う・・・」

実尋は、声を小さくして、夏休みの旅行でネロと二人きりで話しホンネで語った時の事を思い出した。

 

 

 

-信じられる人に出逢えた-

 

あの時は、本気でそう思った。

 

「昨日、代々木さんの所に行こうとした新宿クンを、ワタシは止めた。代々木さんを傷つける結果になったかも知れないけど、ワタシは後悔していない。あの時引き止めなかったら、もう二度と会えなくなる!・・・そんな気がしたんだ。」

 

ネロは、実尋の話を黙って聞いた。

 

「新宿クン・・・壊れたって、元通りになるんだって、言ってくれたよね??ワタシも、元通りになるんだなぁって、一度は思った。」

 

「でも、形の無い目には見えないモノは・・・元通りにならない事もある。ワタシは、そう思う。」

「だからね、新宿クン!!そのプレゼントは、ワタシ・・・受け取れない。」

実尋は、ネロを残して一人帰って行った。

 

 

ーーえっ!もしかして、俺は・・・フラレたのか?

 

 

 

 

 

 

 

後半へつづく

https://ameblo.jp/rum-xxx-03/entry-12568422777.html

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