山南さんから突然「三上先生にチョコあげる？」
日頃から "先輩チョコ" を定期的に与えとるし特別にとか何を今さら と 思ってたけど
嫌な予感がする
なんか朝から機嫌悪いし
（ 帰ります報告 ）
先輩「チョコは？」
私『………』
「待っとるんやけど」
『いつも食べとるやないですか
』
「やったら今日もくれよ」
『作ってきてません』
「最悪」
『どうせいっぱいもらったでしょ？ やから当分いらないと思って』
「あ？ 本気で言うとるんか？」
『………』
もう誰にももらわんとは聞いたけど…
先輩がそう言うんやからそうなんやろうけど
信じてないとかそういうことやなくて
『山南さん 来られなかったんですか？』
「………」（睨）
『あ…』（しまった…）
「お前が渡せ言うたんやないやろうな」
『言…ってません！』
「どうだか（呆）」
『もらわなかったんですか…？』
「（ 激睨 ）」
『…………』
え… なに
もしかして山南さんからなんか聞いた？
やから機嫌悪いん？
ていうか怒っとる…？
『山南さんから何か聞きました…？』
「何かって何」
『……聞いてないならいいです…』
「聞いた」
『えっ！？』
「どういうつもりや」
『えっっ ちょ
何聞いたんですか？』
「（ 睨 ）」
『………』
嘘でしょ
マジで話したん？
誰にも言わんで欲しい言うたのに
「何隠しとるんや」
『（ ぎくっ ）』
「全部話せ」
『……あ！』
カマかけられた！？
やば…！
『何も隠してません』（真顔）
「分かりやす ええ加減気づけよ 俺に隠し事できんて」
『………』
「時間の無駄やからはよ話せ」
『………隠して
「 はよ 」（圧）
『………』
ガタッ（立）
『Σ( びくっ ）』
な…に…
近…
カチャ（カギ閉）
『………』（動揺）
これはもう言うまで帰してくれんな…
顔に出るのはうんざりするほど自覚あるけど
もしかして気づかれとる？
やから先輩も…
「留衣」
『（ びくっ ）』
「座って」
『………』
身体がかちこち
どうしよう
心臓がくるしい
「前にも話したと思うけど 山南さんとは何もない」
『………』
何も？
告白されたことは何もないになるん？
告白されたからって何もないから何もないってことなんやろうけど
先輩のことやから 山南さんのこと考えて 言わんのやろうな
"俺からは話せんよ"
私 思った以上に根に持っとる
だっさいわ
「ふふ（笑）」
『………？』
「いやｗ さっき来た時ほとんどお前の話ばっかやったなて」
『………』
「もっと話したいて」
『………』
「ゆっくりいろいろいろんなこと話したい言うとった」
『……私と？』
「うん」
『そう…ですか…』
「お前は？」
私は話したくない
山南さんと話すといつも嫉妬まみれになって話すたびに自分のこと
比べてしまう
妬んでしまう
巻き込むなって言うたの先輩やん
関わらん方がええ
嫌なこと思い出した
「話したくない？」
『Σ( どきっ ）』
「 ？ 」
『……ｯ…』
「ごめん 俺がとやかく言う事やないやないよな」
『………』
「でも覚えとって欲しい その気は一切ないってこと これからもそれは変わらんから」
『………』
"これから先好きになることは絶対ない"
私ずっと思ってた
先輩が幸せならそばにいなくてもいいって
先輩が幸せになれるならいつでもいなくなるって
そんなの待ってたってくることはない
私がそばにおる限り
ただ無駄に時間が過ぎていくだけ
おじちゃんは何も知らんからああ言ってくれたけど
どんな親やって孫を楽しみにしとるはず
おばちゃんやって
やばい
今おばちゃんたちのこと思い出すと我慢できん
『……ｯ…』（下向）
「 ？ 」
『……は…っ』（奮）
「は？」
『……初…メールは…
「え？（近付）」
『初メールは おいしいおまんじゅう教えて下さい でした』
「は…？」
『それから こしあんとつぶあんどっちが好きですか？
「食いもんの話ばっかやな（笑）」
『………』
先輩にはすぐバレる
もし山南さんが先輩に話したとしたら多分先輩は全部話してしまう
いつか話すんやないかってずっとビクビクするのももうたえられん
『ぁ…あの…』
「 ？ 」
『山南さんには私…』
「ん？」（覗）
『（ びくっ ）私は先生にフラれた言うてますので…！』（離）
「……は…？」
『そ…そういうことなので…えっと…
「え？ は？ フラ…ちょっと待て」
『なので…口裏を合わせて頂けると助かります…』
「助かりますじゃねぇ！」
『（ びくっ ）』
「ちょ…っ！ ﾊｧ…（頭抱）」
『………』
「どういうつもりや
」
『どういうつもりって… そんなつもりなかったんですが…
「一応聞くけど なんでそんなことに？」
『……なんか話の流れで…』
「どんな話の流れや（イラ）」
『………』
「口を動かせ」
『なんで怒っとるんですか』
「お前が嘘言うからや」
『嘘やないですよね 実際何度もフラれましたし』
「フってねぇ」
『……え？ 昔私何度もフラれましたよね？』
「フってません」
『……？…』
「お前の中ではフラれたことになっとるんやな」
『 ？ 』
「（ ガン見 ）」
『……な…んですか…？』
「確かに元に戻るとか前の関係に戻ろうて言うたけど 気持ちは変わっとらんて言うたよな なんべんも」
『………』
「フったって… マジか（頭抱）」
『……ぁあの…』
「勘弁してくれ…」
『先生 あの
「先生？（睨）」
『あっ』
「ハァ…」
『すみません』
「………」
余計なこと言わん方がよかったかな
「なぁ」
『Σふあい…！』
「俺から話しちゃダメ？」
『ああああんしんしてください…！
「お前分かっとる？ フラれた言うた時点でもう巻き込んどるやろ」
『え…』
「やっぱダメや お前に任せとったらろくなことにならん」
『ちょっと待ってください』
「うるさい」
『先生私！』
「先生？」
『あっ』
そうや
私は先輩を巻き込んだ
私がおらんかったら本当なら今ごろ先輩は幸せやったかもしれん
もう誰も巻き込みたくない
先輩のこともこれ以上
『山南さんには私からちゃんとお話しします』
「ちゃんと？」
『はい』
「なんて？」
『……お兄ちゃんの友達で昔から知っていると』
「それだけ？」
『ダメですか…？』
「ダメやろ」
『ぇええ…』
どうしよう…
これ以上って どうしたら巻き込まんですむん
お付き合いしてましたって言ったところで何が変わる？
先輩のことも
私やってあんなことがなかったら
こんな身体やなかったら
もうたえられない
先輩でも拒否してしまうこの身体で先輩を傷つけてしまうのは
気を使われるのも心配させるのも もうつらい
いい加減 仕方ないじゃすまされない
♪♪♪ ∑(びくっ)!!
♪♪♪ ♪♪♪
『あ…えっと… 山南さんにはいずれちゃんとお話ししますので…』
「………」
♪♪♪ ♪♪♪
『失礼しますっ（逃）』
バンッ（脚伸）
『 ！？ 』
「………」
♪♪♪ ♪♪♪
『……ぁあの… 電話…』
「ほんまに言う？ 全部？」
『（うんうんうんうん）』
「………」（脚下）
『 ｯ（礼）』
あ
ああ
身体が
うまく動かん
何これ
脚ががくがくする
うまく走れん
くるしい
息ってどうやってするんやっけ
ドン（ぶつかる）
『すっみませ
「大丈夫？」
『……ｯ…』
この声は
和久井さん…？
たぶん 和久井さん
顔あげられん
こんな態度変に思われる
また心配させちゃう
和久井さんだけはだめ
『大丈夫です ちょっと急いでて すみませんでした それじゃ』
だいじょうぶ
だいじょうぶ
ぜったいだいじょうぶ
（ 研究室 ）
相本「あれ？ もう帰るん？」
私『はい（荷物ぶっこむ） それじゃ失礼します お疲れさまでした（礼）』
大丈夫
絶対大丈夫
早く帰ろう（早歩）
（ 出口 ）
和久井「 笹 」
私『（ びくっ ）』
「帰んの？」
『はい』
「コンビニ行くからパス亭まで一緒行ってええ？」
『……はい…』
「走った方がええ？ 時間ギリ？」
『いえ…』
（ 歩 ）
「俺が好きな紅茶さ ○○（大学の中）には置いてないんよね 超不便」
『そうですか…』
「そういうのない？
『……あります』
「 な すげえ買うから○○にも置いてほしいよな」
『ですね…』
「今日はなんのまんじゅう食ったん？」
『今日は… 帰ったら栗まんじゅうがあるので食べてません』
「あー… 一日一個やから？」
『はい』
そうや
帰ったらおまんじゅうが食べれる
甘いもの食べとらんから嫌なことばっか考えるんや
早く帰ろう
おまんじゅう食べたら元気になる気がする
ちょっと気持ち悪いけど
「あ あのバス？」
『そうです』
「じゃあな 気をつけて」
『はい 失礼します（礼）』
和久井さんとお話ししたら落ちついてきた
嫌なこと思い出したときいつも誰とも話したくないて思ってしまう
案外話した方が楽になるんかな
和久井さんやったからかな
もしかしてなんか察してくれた？ とか？
わざわざコンビニ行く用事作ってくれた？ とか？
また気を使わせちゃったな