文字隆也選手引退インタビュー(トヨタ自動車ヴェルブリッツ) | ラグカフェ編集部の取材メモ

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こんばんは。

 

アシスタントの佐野です。

 


引き続き、トヨタ日野定期戦での取材レポートをお届けします。

 

 


先日アップした川西智治選手のインタビューでも登場した文字隆也さん。

 

試合には「出ちゃうと熱くなっちゃうので、やめておきました」と言うように、この日はサポートメンバーとして日野のグラウンドに来ていました。



「さん」呼びでインタビューをするのは初めてとなるように、昨シーズンをもって8年所属したラグビー部を引退。

 

 

取材を始めてから、トヨタ取材と言ったら文字選手!とトヨタが東京で試合をする時には必ず話を聞いていたので、今回は締めとしてインタビューをお願いしてきました。

 

 

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引退して少し経ちますが実感はあるのでしょうか。

 

「もう、実感というか諦めですね。これからはOBとして現役の選手をしっかりサポートしていきたいですね。」

 

 

引退の経緯についても聞いたのですが、触れてはいけない話題だったようで

「それはえぐいな、よう言われへんそれは(苦笑)」

とストレートな回答。

 

答えにくい質問には、言葉を濁しそつなく応える選手が多い中、こういった返しが文字選手らしいと感じます。

 


 

喪失感はありますか?

 

「最初はありましたけど、いつまで言っていても仕方ないので。次のステップへのチャレンジということで、会社の方で頑張ろうという気持ちと、ラグビーを教えさせてもらっているんで、そこ2つを頑張っていきたいと思っています。」

 


現在は、出身地である京都の社会人チームのサポートもしているそうです。



 

現役時代にやり残したということはあるのか聞いてみると

 

「昨年1年、なんとなく危ない気もしていて、やれることはやろうと思ってやっていたから、特に。まあ、みんな引退する時に絶対後悔はすると思うんで、無いとは言えないですけど。昨年1年はやり切った気分がすごいあるので、そんなには残ってないかなという気がします。」

 

 


 ラグビーは何年続けていましたか?

 

「中学2年生からやから…計算できないので後で計算しておいてください、頭悪いから(笑)」

 

この答え、カットするか迷いましたが、飾らない人柄が出ているので、そのままブログにします(笑)


中学2年、高校3年、大学4年、社会人8年なので合計17年の選手生活。

 

そのなかで印象的な試合をあげるならいつか聞いてみると

 

「いっぱいありますけど。最後レベルズと豊田スタジアムで試合する時は、2日くらい前に引退が決まっていたので、実際11月くらいには(引退が)決まっていて、その試合が印象に残っていますね。」

 

 

高校3年生の時に、花園優勝という日本一の経験があるので、その試合もあがるかなと思ったのですが


「それがナンバーワンやったらそこでラグビーやめてるんで。常に目標を立てていたので、高校で日本一になったからといって、ベストでは無かったかなと思いますね。」

 


 

 

中学、高校、大学、トヨタと、それぞれのカテゴリーでの思い出を話していただけますか?と振ると

 

「(笑)語りきれへん、こんな短時間で(笑)」

と前置きしつつ


「中学、高校と素晴らしい指導者の方に恵まれたというのがあって、ラグビーは勿論ですけど人としてしっかり成長させてもらったなというのはあって、ラグビーだけ出来たら良いという感覚ではなくて。

大学の時は真面目な話、キャプテンさせてもらえて、人をまとめる大変さだったり、色々なことがあってすごい苦しい時もありましたけど、自分が成長できた4年間だったと思いますね。」

 


 

今までラグビーに費やしていた時間を、今後どう過ごしていきたいですか?

 

「今は仕事についていくのが大変でしっかり覚えるのと、今ラグビーを教えさせてもらえているので、仕事もやりつつ、ラグビーのことを考える時間は自分の中ですごいリフレッシュできる時間なので、しっかり勉強したいなと思います。」

 

 と笑顔で答えてくれました。



 

最後にファンの方へのメッセージを

 

「社会人ぽい感じで、今まで、応援して頂き、誠にありがとうございました。」

 

と、わざと辿々しい口調で話した後、真面目なトーンに戻り


「これからトヨタのラグビーのことをしっかり応援していたいと思いますし、僕自身も皆さんのサポートのおかげでラグビー頑張ってこれたので、トヨタというチームと、僕自身も頑張るんでこれからも見かけたら声を掛けてください。応援ありがとうございました。」

 



インタビュー後は、今後、自分がいなくなったヴェルブリッツで私が取材がしやすいように、色んな選手に私のことを紹介しながらインタビューに協力するよう話をしてくれました。




 

勝ちに人一倍貪欲な答えが印象的で、型にはまらない素直な言葉でインタビューに応えてくれていた貴重な選手。



正直、とっつきにくそうだな、と思ったのが第一印象でした。

 

しかし、ここまで話が聞きやすい選手は稀。


 

答えたくない質問を私がすれば、「えぐい」「あかん」など笑いに変えながら、しっかり言ってくれるので懐に飛び込むつもりで毎度インタビューをさせてもらい、話をするたびに元気をもらえました。

 

 

最後まで笑いに包まれたインタビューだったので取材音源を文字に起こしている今やっと、これが最後のインタビューだったんだと引退の実感が湧いてきます。



 

グラウンドに行けば会えるが当たり前だったのが、そうじゃなくなること。


この時期は新たなシーズンが始まるワクワク感と共に、グラウンドに姿がないことを実感する時期でもあります。

 


 

これで私はトップリーグ取材、7年目のシーズンが始まりました。

 

送り出すことも多くなって来た今、縁を大切に取材していきたいと思います。

 

 

 さの