男子セブンズ・デベロップメント・スコッドS&C合宿(新体制スタート) | ラグカフェ編集部の取材メモ

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男子セブンズ日本代表を強化するためのSDS(セブンズ・デベロップメント・スコッド)の合宿が今週も開催中です。

 

前回からの変化といえば、HCの存在。

5月末で契約満了となるダミアン・カラウナはそこにはおらず。

6月から新HCとなる岩渕健輔セブンズ総監督の姿がそこにはありました。

 

選手は(当然ですが)ほとんど変わらず。

今回は鶴ヶ﨑は不在でした。

(S&Cという目的もあるでしょう)

新顔としては、ベン・ポルトリッジ(栗田工業ウォーターガッシュ)が加わっています。

後ろで見ている左側の選手がベン。

(右はジョセ・セル)

 

岩渕健輔新HCに聞きました。

■岩渕体制になって、カラウナ時代から変わるところはあるのでしょうか

 

岩渕:いろいろとエッセンス的には変えます。

一番大きく変わるのは個々へのアプローチを強めるところ。いままではチームの強化が多かったのですが、一人ひとりのフィットネスやスキルのレベルをどうやって上げていくかを考えないといけない。

選手には24日(合宿初日)のミーティングで一人ひとりに何が足りないのか、チームとして何が足りないのか、数字もふまえて話しをしています。

チームとしては得点が足りない、失点が多すぎるとかいろいろあった。これをチームとしてひっくり返していくのは、いきなりは無理なので、そのためには一人ひとりのレベルをとにかく上げることが大事。それが半年間でやらないといけないことだと伝えました。

(この日)一番最初にやったのは、今自分たちがどのレベルにあるのかをわかってもらうこと。そのあとに個別の練習をして、疲労度のあるなかでどれくらいのスキルが出せるのかを(見る)というトレーニングでした。

疲れてくると(パフォーマンス)が落ちるので、やはり個々のレベルを上げないとという考え方で進めました。

 

■セブンズに専念できる選手を増やしたいという話ですが、今日いない選手も含めて来季のワールドシリーズ(SWS)へ向けて何人くらいのスコッドにしたいと考えていますか。

 

岩渕:2018年(シーズン)のトップリーグが終わってからオリンピックまで1年半あるので、そこからは20人くらいでいきたいと思っています。

ここにいるのはオリンピックへ向けた第一次スコッドで、トップリーグが終わったら時点で第二次のスコッドが入ってきてもうちょっと絞り込んでいきたい。

ワールドシリーズの最初の2大会はまだトップリーグ期間中なので、そのあとはカップ戦はあるものの、国内のリーグはないのでそこが(合流する)ポイントになる。

今年の香港とシンガポールに行ったメンバーでざっくり20人くらいになる。今日も少し帰ったメンバーはいるものの20人くらい。これに(2018年のトップリーグ後に)10人くらい加わって、30人程度の中から20人に絞ってオリンピックへというイメージ。

 

■進めかたとしては瀬川HC時代に近いものになるということですね。

 

岩渕:そうですね。あのときも昇格したのが同じタイミングでした。(昇格したメンバーは)オリンピックとかなり近いメンバーだった。なので、そうなるのが理想だと思っています。

 

注:今回の昇格メンバーにはオリンピックには出場できない(かもしれない)外国出身選手がいました。リオ前の昇格時はオリンピック出場可能な選手が中心でした。

 

■カラウナHCのもと「ジャパンフレアー」をキャッチフレーズにしてチームは進んできました。これはどのような扱いになるのでしょうか。

 

岩渕:キャッチフレーズの前に、我々のチームのフィロソフィーをちゃんと持とうという話をしています。選手と一緒に話し合っている段階で、6月中くらいに固めたい。

哲学がしっかりできたあとにキャッチフレーズのようなものを考える予定です。それが「ジャパンフレアー」になれば継続されます。

 

■専属契約のなかでも、トップリーグチームにも所属しない本当の専属契約選手、林大成については何を期待していますか。

 

岩渕:現時点での評価では、ラグビーの能力も高いし、ポジションも複数できるという点で貴重な選手。

セブンズに専念するという立場としては、本当に彼なくしてはチームが成り立たないというレベルになってもらわないと困る。

 

■林選手は日常的にトレーニングをする場所(所属チーム)がない。そのためのサポートはどうなっているのでしょうか。

 

岩渕:そこは小澤、鶴ヶ﨑という専属契約選手と、それに準ずるジョセ点セルや中野、野口も含めてチーム練習(合宿)以外のトレーニングも行っています。そこはチームで年間通して活動できるように変えていく予定です。

 

■今回、岩渕さん以外はカラウナ時代と同じコーチ陣になっています。今後これは変わっていくのでしょうか。

 

岩渕:今いるメンバーは基本的に変わりません。一方で、私になったからということではなく、カラウナとも話をしていたことだが、部分的にコーチを加えていくような考えはあります。

 

 

日本初のプロセブンズ選手

林大成選手

後ろに立っているのが林大成。

 

■プロセブンズプレーヤーになって大変さは感じていますか。

 

林:自分で(セブンズに専念する)という道を選んでできているので、大変さはなくて、むしろ充実しています。

練習環境は充実させていかないといけないとは思っています。

 

■15人制からセブンズ専任ということになって、何が変わりましたか。

 

林:2020年に向けてセブンズに全てをかけないといけないということ。これまでキヤノンにいたときは、チームでは15人制のためのトレーニングをしていた。15人制のトレーニングがセブンズに全く意味がないということはありませんが、チームのために時間を使わなければならないという面もあった。そこを専任ということで、自分の時間全てをセブンズのスキルアップやチーム、個人の目標達成のために使えるのは変わったところ。

セブンズはチームに必要なスキルも、個人のスキルも違うので、ストレングスも違うし、選手によって、ポジションによっても求められるものが違うので、そこを自分にフォーカスしてトレーニングできるところは違う。

 

■クラウドファンディングをしていましたが、その狙いは。

 

林:お金を集めるということが目的ではなくて、僕たちがメダルを取るために、それにふさわしい存在になっていく、大きな目標を達成するためには、多くの人に注目し、応援してもらいたい。

目標を達成したときは多くの人と喜びを分かち合いたい、そのためには多くの人に興味を持ってもらうことは大事だと思っています。

ラグビーは企業スポーツの面が強くて、自分もキヤノン時代は(応援してもらうこと)あまり考えていなかった。プロになって、応援してもらう、興味を持ってもらうための活動は積極的にやっていきたい。

期待してもらえないと見てもらえないし、興味がないと見てもらえないので。

常に何か発信しながら、できることを考えていきたいです。

 

 

新体制となっても、目指すところに変わりはありません。

岩渕新HCも自ら目標を公言することで責任を果たそうとしているように見えます。

 

まずは7月のワールドカップへ向けて、トレーニングは続きます。

 

(尾)

 

今回もセブンズ日本代表(候補)選手たちの声がオンエア予定のラグビーカフェオンレディオ。

新HCを迎えた選手たちのホンネに迫っていますよ。

調布FMでは本日(5/29)オンエアのはず。

ぜひ、お聞き逃しなく。