負けず嫌い王決定戦 | ラグカフェ編集部の取材メモ

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ジャパンラグビートップリーグ2017-2018

第12節 @秩父宮ラグビー場

 

11:30 KICK OFF

コカ・コーラレッドスパークス  5

   対

クボタスピアーズ        12

観客数:5753人

 

久しぶりに勝ち点を加えたアール・バーHCは「良いパフォーマンスだった」と振り返った。

もちろん、結果に満足はしていないがチームの成長を感じられたことは、今後につながるポイントだ。

「次こそは、次こそは」でここまで来たという山下昴大キャプテン。前節、前々節のふがいない試合を振り返り、この試合では「ラグビーをいかに楽しみ、自分たちのラグビーを発揮するためにいかにするのか」を真剣に考えたと話しました。

結果、前半はノースコア、後半も5-12とロースコアで終わったこの試合、チャンスは作れたものの、取り切ることができなかった点を悔いた。

ロースコアに終わった結果もあってか、フラン・ルディケHCはディフェンスでの踏ん張りを評価。「今シーズンNO.1だった」

反面、アタックでは苦労したと、相手のディフェンスの強さにも言及。

立川理道キャプテンは「どうしても勝ち点が欲しかった」と話し、結果的にボーナスポイントが取れなかったことへの無念をにじませた。

次節は同カンファレンスで、順位はひとつ上のシャイニングアークス。「チャレンジして勝てるように準備したい」と話した。

 

立川キャプテンは、前半相手WTB#11の吉澤太一がターンオーバーし、あわや独走トライという場面を、必死の追走で阻止。

会見でそのシーンの振り返りを求められたキャプテンは、照れながらも「チームで1番負けず嫌いなんで」と。

自分で自分のプレーを振り返るのは、と言いながら「うまくいったと思います」と。

TMOにもなったこのプレー、繰り返し流れた映像ではタックルにいっただけではなく、グランディングも阻止しようと手を絡めていました。

”負けず嫌い”感が現れたプレーでした。

 

スピアーズのキャプテンにトライを阻止されてしまったレッドスパークス吉澤太一。

ディフェンスされてしまった場面を振り返り「やっぱりああいうところがトップでやっている選手。粘りとか、僕もそこを目指したいのでアタックなら取り切るし、ディフェンスなら立川さんのように粘りのあるディフェンスをしたい」と。

最後に立川が走ってくるのは「来たな」と思っていたという吉澤、「(トライを取れるかどうかは)フィフティフィフティだなと思ったので、ガメついたっていうか、勝負したいなっていう気持ちがあった」と、”競り合いでも俺が勝つ”という意識で飛び込んだのだとか。

「あれが決まっていたら(勝敗は)わからなかったので、ホント、チームには申し訳ないです」と悔しさを表しました。

独走前のインターセプトについては、チームのディフェンスがしっかりできていたからだったということもあり「トライが決まっていれば、チームとしても完璧な形だった」とやはり取りきれなかったところの反省を口にしました。

試合については「最初から最後まで気持ちが入った良い試合を見せられたのでは」と収穫を口にしつつ、「こういう試合ができるなら、シーズンの初めから(こういう試合を)したかった」とも話していました。

スピアーズを苦しめたディフェンスについては「全てが決勝戦という意識でコーチからも言われていたので、(要求に)応えられたかな」と。

「降格するつもりは毛頭ない」という吉澤、残り試合で結果を出せるか。

 

結果的にトライを防がれてしまった吉澤ですが、その過程には”負けず嫌い”の虫がうごめいていました。

 

スピアーズのFBを守り続ける合谷和弘。

両チームともにミス、ペナルティが多く、チャンスを逃す場面が目出しました。自チームに関して、その原因を「試合前にはシンプルにいこうと話をしていたんですけど、プレッシャーに押されていつもと違うプレーをしてしまった。あとはコミュニケーションミスでパスミストかも多かったので、そこから崩れたのかな」と分析します。

この日は風も強く、キックで相手陣に入ればトライも近づくのではというプランだったようですが「なかなかコーラさんも簡単にトライはさせてくれなくて、ディフェンスもすごかったので」と相手ディフェンスの踏ん張りに押された様子。

すっかりスピアーズのFBとして定着した印象の合谷。

2年目で慣れてきた部分は認めつつ、「でも、もっと身体をつくらないと」と課題も口にします。

「セブンズのときから2キロくらいしか増えていないのであと2〜3キロ欲しい」と絶賛増量中とのこと。

フィジカル強化は「ディフェンスよりも、アタックでゲインしたいときに押されるので、もうちょっとそこを踏ん張れるように」と話します。

「日本代表も目指しているので、強いきもちでやっていきたい」と、上昇志向の発言も。

もちろん、そのために必要なサンウルブズも視野に入ります。

ライバルは松島幸太朗、サンウルブズにはゲラード・ファンデンヒーファーも加入し日本代表を目指す気持ちもあるようです。

そんな日本代表FB争いに参戦する意向を見せた合谷、セブンズで活躍する姿が見られなくなるのは寂しいところですが、はっきりと自分の意思を表明できるようになった姿は頼もしさを感じます。

 

14:00 KICK OFF

サントリーサンゴリアス     24

   対

神戸製鋼コベルコスティーラーズ  7

観客数:10606人

「求めていた結果ではないが、エナジーはあった」ジム・マッケイHC。

第1試合とは対照的に、後半がスコアレスになったこの試合。

マッケイHCは後半最初のトライを取れれば流れをつかめるとハーフタイムに話したそうですが、結果トライはコベルコスティーラーズだけではなくサンゴリアスにも生まれなかった。

キャプテン山中亮平。

「後半トライは取れなかったが、ディフェンスの修正はできた」と前向きな要素を口にしました。

沢木啓介監督「成長できる試合」

後半チャンスを作るものの、取りきれなかった点は課題と話しましたが、ノートライに抑えたディフェンスは評価しました。

流大キャプテン。

試合の入りに対する課題感を口にし「プレーオフで追いかける展開は苦しい」と、常に視線は高みにあります。

 

会見の質疑では沢木監督から「ショーン(マクマーン)のことは聞かないの」と提案する場面も。

曰く、先に加入したマット・ギタウとともにラグビーに対する姿勢、ハングリーさが素晴らしいとのこと。

練習に対する姿勢も含め、思わず人に伝えたくなるほどのものであることを伺わせます。

 

レベルの高い外国人選手も加入し、チーム内競争は激しさを増します。

そんなチームにあって、競争に勝ち残ったベテランがひとり。

気がつけばバックスでは最年長になった長友泰憲。

松島幸太朗、松井千士などの注目選手が加入するサンゴリアスのバックス。

「(良い選手が入ることは)チームにとって良いこと。刺激されながら自分の技術も磨いて、後半に伝えられることは伝えてという感じです」と先に立つものの役割も担います。

若手との違いを見せるポイントは「ワークレートとフィジカル」

 

指導的な立場も意識している昨今、教えすぎると自分で考えなくなることもふまえて「オフェンスはそれぞれの良さを出してもらって、ディフェンスで悪かったところを修正して、(サンゴリアスのディフェンスを)覚えてもらいたい」と話します。

これは、かつて自分も小野澤宏時などの先輩達から教えられてきたことでもあります。

今、自分がその立場になり、人に伝えることであらためて気づくことも多いと話しています。

府中ダービーでもメンバーに名を連ねた長友。

この日のミックスゾーンでは(交代出場前も)相手チームの選手に声をかけられるほど、敵味方関わらず愛される選手でもあります。

 

2017年のトップリーグ最終戦、各チームそれぞれの思惑を持って勝利を目指します。

 

(尾)