パジャールスキ(ミハルコフ)登場!:5等文官「エラスト ファンドーリンの冒険」より(8)
Статский советни (Приключения Эраста Фандорина)(8)
Сцена 14 В московском жандармском управлении
シーン14,モスクワ公安庁で
ニキータ ミハルコフが登場すると、主役のファンドーリンを演じるオレグ メンシコフの影が薄くなってしまいます。特にこの到着とそれに続く場面はミハルコフの独壇場。
大げさすぎる演技ですが、引き込まれます。
Пожарский: Приехавший по именному повелению чиновник из Петербурга, требует вас сей же час к себе! Ба! Испугались! Испугались... Явился к вам сам и требую только одного – стаканчик горячего чаю с мороза.
パジャールスキ:勅命によりペテルブルクから官吏が到着、貴殿の速やかな参上を求める!
そら!驚いたろう!驚いた・・・。自分からやって来ましたよ、そう要求はたった一つ、ひどく寒かったので一杯のお茶を。
最初の文は、ゴーゴリ「検察官」の幕切れの台詞。
パジャールスキもペテルブルクからやってきた官吏でこの台詞が合いますが、
「自分からやってきた」、「求めるのはお茶」と言葉遊びをしています。
Именное повеление (旧)勅命
требовать кого к кому ~を~に召喚する
「まいにちロシア語・応用編」、新しいシリーズの時はテキストを購入しています。
11月号には半年間の学習項目予定が載っていました。
11月は形動詞や移動の動詞の勉強があるので、台詞から関連事項を拾っていきます。
Приехавший по именному повелению чиновник
「乗り物で行く」の不完了体定動詞ехатьに、「到着」の意味の接頭辞приが付いて、 приехать 能動形動詞過去形がприехавший
приехавший (по именному повелению) чиновник到着した官吏、勅令により、が中に入っています。
芝居っけたっぷりに登場したパジャールスキが部屋にいる3人に挨拶をするのですが、まず最初に部屋の主のブルチンスキではなく、彼の部下のムィリニコフにまず言葉をかけています。
故意に礼儀を無視した行動の後、ファンドーリンに向かって、
Пожарский: Ну-с, а вы, стало быть, Эраст Петрович Фандорин. Очень рад! Наслышан, наслышан о вашем дедуктивном методе. И весьма польщён! Давно мечтал! А ещё говорят, что вы невероятно везучий – выигрываете во все азартные игры. Это правда?
Фандорин: Да, есть у меня такое странное ка-качество. Но пользуюсь им крайне редко – не азартен.
パジャールスキ:そう、では、あなたがエラスト ペトロヴィチ ファンドーリン。喜ばしいことで。噂はかねがね、あなたの推理方法については聞いております。全く嬉しいで!かねがね望んでいました!ところで、あなたは信じられないほどツキのある人だとか、あらゆる賭け事に勝つと言われているが、それは本当ですか?
ファンドーリン:そう、私にはそんな不思議なシ・シシツがあります。がそれを使うのはまれで、冒険しない。
Эраст Петрович Фандоринと、
名・父称・姓の全てを知っていたパジャールスキ、ファンドーリンにライバル心いっぱい!
この映画ではメンシコフとミハルコフの年齢が開いていて、二人の会話がしっくりとしない感じがありますが、小説ではパジャールスキも若く、ファンドーリンと同年代の設定です。
ка-качество軽い吃音が、ところどころに現れます
заикаться(不)吃る、仕えながら話す заикание吃音 заи́ка吃音の人
「まいにちロシア語・応用編」第12課(11月17日放送)でвезти の説明が。
話し言葉では無人称文で「ついている、ラッキーだ」という意味もあります。
その形容詞がвезучий、運のよい、何をしても上手くいく。
наслышан/а/ны + о ком/чём うわさに聞いて良く知っている
польщён
польстить(完)満足させる、へつらう、の受動(被動)形動詞過去形 пошьщённыйの短語尾男性形
「а」で始まるロシア語は、ほとんど全部が「外来語」(「к」も多くはラテン語から)
азарт も語源はフランス語の「hasard」、熱中・冒険・賭け。
形容詞はазартный、短語尾形азартен, азартна...
азартная игра 賭け事
Пожарский: А я азартен. Но, между прочим, тоже считаю себя везунчиком. Вот я ехал и всё думал: как бы нам проверить, чья фортуна помускулистее? И придумал. Оп! Во! Но это не то! К слову сказать – замечательная вещица! Изобретение британцев. Между прочим, два раза мне жизнь спасал. Но я другое имел в виду. Вот это. Попробуем?
Прошу. Снимайте! Какая масть?
Фандорин: Чёрная.
Пожарский: Согласен. А теперь?
Фандорин: Чёрная.
Пожаруский: Согласен. А теперь?
Фандорин: Чёрная.
Пожарский: Третий раз кряду? Сомневаюсь. Я говорю: красная! Вы – опасный человек, статский советник! Забирайте колоду! Ваш трофей по праву. Итак, шутки в сторону, господа!
パジャールスキ:わたしの方は冒険好きだ。そして、ついでながら自分が運に恵まれていると思っている。来る途中ずっと考えていた、どちらの幸運が強いかをどうやって調べようかと。オッと!ホッツ!いやこれじゃないんだ!ついでに言うと、これは素晴らしい物だ!イギリス人の発明品で。そして、2回もわたしの命を救った。わたしは他のことを言おうとしていて、これだ。試そう? 札を引いて、マークは?
ファンドーリン:黒
パジャールスキ:賛成だ。こんどは?
ファンドーリン:黒
パジャールスキ:賛成だ。こんどは?
ファンドーリン:黒
パジャールスキ:3回も続けて?疑わしいな。わたしは、赤だ!あなたは危険な人物だな、5等文官殿!トランプをどうぞ、正当な戦利品だ。そう、冗談はさておき、 皆さん!
パジャールスキの台詞の中に、慣用句が色々とあるので、まずそれを、
между прочим ついでながら、ついでに
К слову (сказать) = кстать ついでに
я другое имел в виду
иметь в виду + кого, что 言おうとしている、考慮に入れる
шутки в сторону 冗談はさておき
везунчикツイている人、先ほどвезучийが出てきましたね。
袖の中にピストルが隠されていて、それが現れるのですが、
два раза мне жизнь спасал
ロシアの芝居は、チェーホフの言葉「舞台にピストルが掛かっていたら、必ず発砲されなければならない」を踏襲するので、いつか、火を噴くのでしょう。
あと、キリスト教の関係からか「3」が一まとまりと考えられているので、
「2回」ということは、あと1回、何かが起こることを示唆しています。
колодаトランプの一組
трофей 戦利品、トロフィー。優勝カップの意味ではкубокが使われます。
Масть トランプのマーク
トランプについては2月26日(「機械仕掛けのピアノのための未完成の戯曲」、雨)
のブログに書いています。
P.S.
今年は、なぜか何処へも、温泉にも行っていませんでした。
これじゃいけない(???)と、日帰りですが登別温泉へ。
今年は暑さのため多くの木で葉が落ちてしまったとか、終わりかけていたこともありますが、
見事な紅葉とは、いきませんでしが・・・ お湯は最高!
白老牛のランチに虎杖浜タラコの詰め放題!楽しみました!