逃げるようにヴァロージャの部屋を出たカーチャはエレベーターの中で放心状態です。
年配の男性が声をかけてくれます。こんな簡単な言い方でいいのですね。
短くても決してぞんざいではなく、声の調子に心配が現れています。
Мужчина: Вам плохо?
Катя: Да, мне плохо.
男性: 具合が悪いので?
カーチャ: ええ、悪いの。
Саша: Цветы? Откуда?
Катя: Подарили.
サーシャ: 花?何処から?
カーチャ: プレセント。
帰り道、気持ちを慰めるために買った花を、プレゼントと娘に偽ります。
近しい間柄では、往々にして会話は単語だけになりますね。
カーチャが花を買ったのは、ソビエト時代に「救世主ハリストス大聖堂 Храм Христа Спасателя」を壊して作られたプールの近く。 水が輝いていますね。
1812年ナポレオン戦争の勝利を記念して大聖堂の建設が決められます。
でも、モスクワ川に沿った軟弱地盤のため建築は困難を極め、その上内装にも時間がかかり、
やっと1883年に開設にこぎつけました。
ところが、わずか50年後1931年に、この聖堂は時の政府の命令で爆破されてしまいます。
ここには「ソビエト大宮殿」なる建物が建設されるはずでしたが、戦争や、なぜかしら建築が進まなく呪いの都市伝説も生まれ、結局1960年にここは「屋外温水プール」となります。
ソ連邦の崩壊後、聖堂の再築が決められ、2000年に現在に大聖堂が完成しました。
暗くてわかりづらいのですが、このシーン、今では「歴史の証人」ですね。
古い写真です。2006年に、前にも書きましたがアルバートホテルに滞在しました。
どこかへ行く途中だったのか覚えていないのですが、ホテルから歩いていると、
この教会が見えて。ビックリ! その後はただ感激でした。
地下鉄は、「クロポトキンスカヤ」駅
外壁のレリーフ
また、普通に旅行できる日々が早く戻ってきますように!