その日、僕はため息のつきっぱなしだった。
臍の緒の埋没手術はその診療所の所長である内科の先生の執刀で行われた。
自分はその準備と周辺でのアシストのみをするだけ、と心に決めていた。
患者の左胸部やや外側の皮膚をその当時の方法で、ヨーチンで消毒し、皮膚がかぶれ易いとのことなのでハイポールという液を塗りこれを中和しておとす。
院長は穴あきの消毒した布をかけてから「お願いします。」誰に言うでもなく呟いて軽く会釈した。
そして「ノボカイン」と言って注射器を持った。
これは手術する場所に注射してその部位だけ麻痺させ一時的に無痛の状態にするための薬液である。
所謂局所麻酔をしたいという意志表示した。
麻酔薬を5ccくらいの注射器にいれて注射する。
「何%ですか?」と僕は尋ねた。
局所麻酔薬は0.5%1%2%位まで使うが、この薬に過敏な体質の人がいて稀にショックを起こして死亡することがあるのでその濃度を確認する為だ。
通常は予め術者が何%と指示しておくものなのである。