前にも書いたが、私の家は代々、浜名湖北岸の田舎町の開業医であったので、姫街道に面した医院の建物からやや奥のほうに、母屋があり、そこを住まいとしていた。
その玄関を入ると三和土の土間となっていて、やや広めの上がり框があり、猫の住まいは古いミカン箱に古座布団を敷いたもので、そのなかに母猫のチイチャンと5匹の子猫がはいっていた。
猫のトイレは土間の古木箱に、浜砂をいれたものだった。
昔の猫はそれだけでも、すごく幸せな状態だったのである。
僕は「母親のくせに・・・・・・」と言いながら、まずチイチャンを捕まえ、首に藁縄を巻いて上がり框の土台にしばりつけた。