最後の夏休みも残り2週間位となった頃のことである。
前々から、かかりつけの患者さんで、たしか吉田さんというお名前だったが、その方は私より5,6歳年上で、まだ独身だった。
何となく、気の合う人で診察にみえると、治療が終わってから、いろいろ雑談したりしてかなり仲良しの間柄となっていた。
ある日の会話の中で、ダンスの話がでた。
「先生(白衣を着ているとなんでも先生と言われるものだ)はダンスやらないの?」と彼。
「全然何もできないし、知らない。」と私。
「じゃあ、僕がレツスンしてあげますから是非やってごらんなさい、凄く面白いですよ。」
「だめだよ、恥ずかしくてできないよ。」
「まあー、いいから。」
無理やり手を引っ張って、丁度誰もいない待合室の畳の上で、スロー、スロー、クイック、クイックと始まってしまった。
ご承知のようにダンスのいろはである。