最近は回虫が原因で開腹手術ということは、殆ど無いとは考えられますが、回虫はどうも細い管に入りたがるようです。
肝臓からの胆汁を排出する総胆管内に入り込み、激烈な腹痛と、黄疸をひきおこし、胆石の嵌入(管にはまりこみ閉ざしてしまう)と診断し、緊急手術してようやく回虫が原因であったことが、判明したこともありました。
その当時、黄疸の原因として回虫がかかわっていることなどはCTやMRIなど診断に大変役立つ画像診断法のない時代でしたので、開腹しないと絶対に正しい診断は不可能でした。
私は腸閉塞と診断し、開腹手術してその原因が回虫であることが分かったとき、患者の腸を切開して回虫を取り出すようなことをしないで、殺虫することにより治癒させることが出来ないかと考えた末、良い方法を知ることが出来ました。
開腹して回虫が原因であることが判明した場合、虫体を腸管の外から指で挟み、細い針を付けた注射器に、過酸化水素水(オキシフル)をいれて腸管外から虫体内に数CC注入すると、プチンと音を立てて虫が破裂して殺虫することができ、引き起こされていた症状を解決することができます。
自分は、この方法をその後の症例に応用して好結果を得ることができました。
この方法は本で読んだものでも、研究発表を聞いた覚えもないので、先輩の先生から教えていただいたのではと、思っています。
所謂「耳学問」といいますが、先輩の経験談等を良く咀嚼して取り入れ、自分の進歩発展の資とすることは、特に医療に携わる者にとり大切なことです。
ついつい回虫の話が長くなってしまいましたが、次回からまた医学部卒業までの生活にもどります。よろしくご愛読願います。