私の医学生時代 45 | *ルビーテッククリニック*院長のコラム

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いよいよ手術が始まった。

患者さんのお腹は妊娠した人のように、膨れ上がっている。その上に滅菌された大きな覆い布が、上半身と下半身に掛けられ、更にお腹にはお臍を中心にして縦にスリットの開いた更に大きな布がかけられている。

臍を中心として鳩尾の下から、下腹まで一気にメスが走った。

サッと吹き出る血をアシスタントがふくと、手際よくパチン、パチンという音と共にコッヘル(鈎のある血止めの器具)で止血するとともに、筋膜を両側から挟んで持ち上げ切開する。

すると、すぐ下に腹膜があるのだが、膨れ上がった小腸がその下から飛び出してくる。今のように、全身麻酔で体中の筋肉を緩めて、呼吸も止めてする手術とは全然違うのだ。

意識を朦朧とさせることは可能だが、呼吸を止めるまでにしたなら、それは不味い事になる。
当時の外科医は麻酔も自分でかけて手術しなければならなかった。

お腹の手術には、高位の腰椎に針をさして麻酔薬を入れる脊髄麻酔で行う場合がほとんどであった。