目が暗闇に慣れてくると、フイルムの現像画面が、だんだん明らかに判るようにてきて徐々に黒白のコントラストが鮮明になった。
「みえたぞ、ニボーだ!!!」
腸閉塞については、外科の講義の時、レントゲン所見で、中山教授から「これは将来外科を志す人だけでなく、医師ならば必ず知って置かなければならない画像で、イレウス(腸閉塞)のニボー(Niveau水平面ドイツ語)という腸閉塞の確定診断に欠かせない形なので、諸君はしっかりと頭に入れておくように」と言われた言葉を、鮮やかに思い出していた。
言葉や、本の文字で覚える知識よりも、自分の感覚の中で実際に体験する事は、何ものにも代えがたい貴重なものなのだ。
この年になっても、未だこの感動を、生生しく思い出すことができる。
教わったことを、身を持って体験することが、医療人にとりいかに大切であるかを感じさせる瞬間でもある。