その様な、外科医の徒弟奉公に似た生活中にも、さまざまな経験があった。
ある夏休み家の手伝いで、毎日暑さ厳しい中、忙しい毎日を過ごして居る最中のことであった。
夏は皮膚の化膿性の病気や、湿疹、水虫、虫刺され、またスポーツ中のけが人などが多く、外科を訪れる患者さんが増える時期である。
田舎では皮膚病も外科で診療するのが当然のように思われていて、痒くても、痛くてもなんでも外科を受診するのだ。
町で一軒だけの外科医院なので朝早くから待合室は一杯、冷房のない時代で、ムンムンして、息苦しいくらいだ。
昼食をとる間もなく、汗だくになって働き、やっと一段落して、昼食とも夕食ともつかぬ食事をぱくついているとき、「急患です!お願いします!!!」と待合室から慌ただしく大声が響いてきた。
チャブ台を囲んでいた一同は、ぎょつとして箸をおき立ち上がった。