この時撮影していた症例は、前にもふれたが、中山恒明教授が考え出した「中山式胃切除術」でこの術式の核は、残った胃と十二指腸を吻合(つなぎ合わせること)するとき、胃の後壁に針をかけ、三針膵臓に固定する場面で、胃のどこに針をかけ膵臓のどこにどれ位の深さで刺すのかという点である。
映画でも、無論写真でも平面的で、立体的ではないので、実際の場面に立ち会い、自分の眼で確かめるしか理解する方法がないのだ。
普段、手術場に入る事ができない学生にとっては滅多にないチャンスである。
決まった見学席からじわじわと何人かが、よりよく見ることのできる撮影用の場所へ乗り込んでいた。
いつの間にか私もその中の一人となっていたのである。