やや専門的な話になるが、いろいろの病気の治療のため、胃を切り取る(切除)手術のあとまた食べ物が、通過するルートを作らなくてはならない。
この方法を研究し確立したのはドイツの外科医ビルロート教授で、胃の断端を十二指腸につなげ、今迄どうり通過する方法(第一法)、十二指腸側は閉鎖してその先の小腸につなげて十二指腸は通過しない方法(第二法)を唱えて、そのメリット、デメリットが世界的に消化器外科学会で論争の的となっていた。
その当時の日本では、手術のテクニックとしては容易な、ビルロート第二法が広くおこなわれていた。
中山教授は第一法はより簡便で、理論的にも手術後の状態が正常の胃腸の働きに近く食物の消化吸収も良くなると考え、この第一法の手術方法を改良しようと、日夜心血を注ぎ、今までの常識を覆す考え方を考案して、驚異的な手術時間の短縮と共にその安全性からも相俟って手術成績を素晴らしく向上させたのである。