12月の誕生石その2 タンザナイト+α | 心がときめくジュエリー ジュエリーデザイナー 奥野貴子のブログ

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誕生石って月によって1種類だったり2種類だったり
3種類なんて言われている月もあります。

また国によっても判断が分かれていて
12月はトルコ石がどこの国でも一般的に誕生石。

ただし日本とアメリカでは

タンザナイト

も12月の誕生石になっています。

またほぼ日本だけかもしれないけどもう一つ

ラピスラズリ

も最近では誕生石として取り上げられています。


そんなわけで その2 は

12月の誕生石 タンザナイト+αについて




タンザナイトは1967年にタンザニアのメレラニ鉱山で発見されました。
鉱物としては今までもあったゾイサイトというものなのですが、
今までにはなかった美しく深いブルーが特徴です。



この美しい宝石の噂を聞きつけて目を付けたのが
アメリカのティファニーです。
そしてティファニーによって

タンザナイト

と命名されました。

これは美しいブルーがタンザニアの夕暮れ時の空の色のようだ、
というのが由来です。
元々宝石名には石を表す「ite」を付けることが多かったのも
理由の一つだと思います。
(タンザナイト=Tanzanite)

さてこのタンザナイトの魅力は?

もちろんこの美しいブルーです



またタンザナイトは角度や光源によって色合いが変わって見えます。
鑑別書で「変色性」と表記が出るほどではありませんが、
天然光と蛍光灯・白熱灯の元ではそれぞれ
美しい群青色や紫・青の色合いが強く出ます。
タンザナイトをお持ちでしたら是非色々な光源でご確認ください


タンザナイトはアメリカで特に人気が高い宝石です。
良質で大粒なタンザナイトの多くがアメリカの宝石商の元に行きます。

ここで面白い話
2008~2009年に海外のジュエリーショーに買い付けに行くと、
「今なら大粒のタンザナイト安く売るよ」というオファーがかなりあったと聞きました。
あのリーマンショックの後です。
私も実際現場で「前より安い
というルース(ジュエリーになる前の宝石)をずいぶん見ました
アメリカの景気が冷え込んで売れなかったんですね。。。
あの時買っておけばよかったな~~
(↑タンザナイトは持っていない

タンザナイトってなぜか大きめの石にトリリアントカットが多いです。
小粒のお安い石にはありません。この理由は不明。
このトリリアントカットには人気の(定番の?)スタイルがあり、
石を横向きにした立体的なデザインです。

私も6年くらい前にこんなデザインをいたしました




そしてちょっとだけおまけのラピスラズリのお話し。

ラピスラズリはアフガニスタン産の物が良質と言われ、
美しい瑠璃色をしています。
だからでしょうか、ラピスラズリの和名は「瑠璃」

ラピスラズリは金色と銀色の中間のような色のパイライトというものが
適度に散らばって入っているものが評価が高くなります。
あ、もちろん色合いも最重要です



逆に評価が下がるのは白っぽいカルサイトというものが入っているもの。
これは非常にわかりやすいポイントです。

ラピスラズリはその色の美しさから顔料として使われています。
絵具でいうところのウルトラマリンブルーなどの色ですが、
最近は合成の物を使っているようです。
私のようにかつて美大生だった方は
ホルベインのウルトラマリンの絵具持っていたのでは?

この顔料としての歴史は意外と古く、
6-7世紀の洞窟画に使われたのが最初のようです。
そしてフェルメールブルーとして有名なあのフェルメールの青も
ラピスラズリを原料とした顔料によるものです。

この話、ちょっとネタになるでしょ?