Buon giorno みなさん♪
東京で開催されているボッティチェリ展にはイタリア・ルネサンスの至宝ともいえるべき作品が目白押しです。
「東方三博士の来訪」
「書物の聖母」
「書斎の聖アウグスティヌス」
・・・
その中でも今回は「誹謗」を紹介したいと思います。
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今回の東京の展覧会。開催1ヶ月を切った時点で急遽出展が決まったのがこの
「誹謗」
です。
良い画像がなくて恐縮なのですが、
・右端にロバの耳を持った王と2人の女性
・頭巾をかぶった怪しい男
・美女3人
・引きずられる裸の男
・老婆
・裸の女性
という構図になっています。
ひとつひとつ説明していきます。
右端にロバの耳を持った王と2人の女性
「王様の耳はロバの耳・・・」
というおとぎ話があったかと思います。
ロバの耳を持つということは人間の耳を持たないことを表します。
すなわち「人間=知性」を持ちません。
そんな王様に耳打ちするのは「無知」と「猜疑心」です。
知性のない王が「無知」と「猜疑心」の言葉を聞いたらどうなるでしょう・・・
頭巾をかぶった怪しい男+美女3人+裸の男
頭巾をかぶった男は「嫉妬」
そして彼が連れてきた美女が「誹謗」です。
「誹謗」の髪をとき飾り立てている女性達が「策謀」と「欺瞞」です。
悪徳辞典のような用語が並びます。
そして髪を引きずられている裸の男は「無実」
そう、嫉妬が策略と欺瞞で誹謗中傷を重ねて「無実」を陥れている図なのです。
老婆と裸の女性
裸の女性というのは伝統的に「真実」を表すとされます。
何も隠しているものがないからです。
有名なものとしてはクリムトの「ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)」があります。
ボッティチェリの絵でもこの裸の女性は「真実」
そして老婆が「後悔」とされています。
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すべてのストーリーをつなげ合わせると
嫉妬心から無実な男を誹謗中傷しそれを無知な為政者が信じた。
だが真実があきらかになり無実の男を陥れたことに後悔した。
という感じになるかと思います。
この絵を見ると毎回重~い気持ちになるのです。
ではなぜこのような絵をボッティチェリは描いたのでしょうか?
それはボッティチェリのみぞ知る・・・
ではなくて、1400年代終わりのフィレンツェの政治的背景があるのです。
ちょっと長くなりそうなので、続きは次回に・・・
今回は絵の概要を説明しました。
次回は絵が描かれた時代的背景を説明します。
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