つい先日、学生時代から15年来のつきあいのある親友から、手紙が届いた。
彼女とは本当に仲が良く、普段メールでばんばんやりとりしているのに、
敢えて手紙が届いたのでなんだろうと思ったら、次のような事が書かれていた。
実は、三人目を身ごもっていたんだけど、
不妊治療をしているあなたにどう伝えたらいいか分からず、
次に会ったときに、面と向かって言える自信もなく、
メールで簡単に伝えられるような内容でもなく、筆をとりました。
以前、自分も8年間の不妊に苦しみ、不妊治療していて、他人の幸福を
素直に受け入れられない時期があり、そのことを思うと、あなたの感情がよく分かるので、
こういう形での報告となったこと、そうして、この事実を
あなたの好きなように受け取ってくれて良いから、と。
私への気遣いが沢山詰まった、三枚の手紙だった。
彼女は25歳で結婚して、8年間恵まれず、治療に踏み切った後、
34歳、36歳で男の子に一人ずつ恵まれた。
公認会計士、米国公認会計士、税理士、社労士の資格をとり、
働くことに実に意欲的な女性で、私より一つ年下だけど、
スマートで努力家な彼女をずっと尊敬してきた。
私が不妊治療を始めたきっかけも、彼女がやっているのを聞いてからだ。
夢クリニックを紹介してくれたのも彼女だった。
そういう彼女が、めいっぱい私のことを気遣って、言葉を選んで書いてくれた手紙。
私はこういう親友を持てて、心から幸せだなと思った。自慢したいとも思った。
そして、彼女の妊娠を心から喜んだ。喜ぶことができた。
不妊治療をしていると、恐ろしいことに知らず知らずに、自分のことしか見えなくなってくる。
誰も自分に触れたがらなくなっているんじゃないか、
という、被害者意識も芽生えてきたりする。
どんどん、卑屈になってくる。そして、夫に当たったりしてしまう。
一方でそんな自分を非常に恥ずかしく思って自己嫌悪に陥る。
一体、どういうスタンスを取ればいいのか、自分の中のモヤモヤの整理にもがき
苦しむ時期もあった。
でも、この親友は、そんな私にいつだって寄り添ってくれている。
結果が良ければ一緒に喜んでくれ、結果が悪ければ一緒に悲しんでくれる。
そしていつも凛として、人に優しく、きちんと理解してくれているのだ。
かけがえのない存在をもてて、自分は改めて幸せな人間だと思った。
結果は今も分からないけれども、自分はチャレンジしているのだ。
チャレンジしている以上、前向きにとことんぶつかっていくしかない。
やれることを全てやる。自分の問題として、努力する。
他人と比較するようなものではない。
そして、新しい命を授かった全ての人を心から祝福出来る人間でいたいとおもう。
彼女のお陰で、色々気付かされ、ありがたいと心から感謝した。
早速私は、幼子を抱える彼女のために、近所のコンビニで軟水を少しずつ買い集め、宅配便で送った。
放射能の影響が少しでも軽減されますように。
微力ながら、彼女のためにサポートしていこうと思っている。