菊の香りは永遠の香り | 横浜の香り教室 平安の香りと親しむ平安朝香道

横浜の香り教室 平安の香りと親しむ平安朝香道

東急電鉄日吉駅3分にある平安の香りを創り楽しむ教室です。平安時代、貴族や「源氏物語」の主人公光源氏がたしなんだ香り創りや楽しみ方をご紹介。(by平安朝香道 朝倉涼香)

イエローハート菊の香りは永遠の香り

 

 

 

ご訪問ありがとうございます

平安朝香道の朝倉涼香です

 

 

 

暮れも押し迫り

皆様、何かと多忙な毎日を

お過ごしではないでしょうか?

 

 

毎年のことですが

やり残したことばかり・・・

 

少しはわが家の庭も

と思い手を着け始めました。

 

雑草は枯れてはいても

根が手ごわい。

これは時間が必要です。

 

鉢植えにしていた藤袴は

すっかり枯れてしまいました。

 

ついこの間まで、湿気があると

枯れても尚、良い香りを放って

愉しませてくれていましたが

とうとう切ることにいたしました。

                                                                      

 

「源氏物語」の匂兵部卿(匂宮)が

老いを忘れる菊や衰え行く藤袴

見栄えのしない吾亦紅を

霜枯れの頃まで見捨てなかった

その気持ちが理解できる気がします。

 

 

龍脳菊も枯れて

見る影もなく茶色に変身

 

移菊(うつろいぎく)もやがて

枯菊(かれぎく)へ

枯れ菊は俳句では

冬の季語です。

 

 

その中でも

枯菊と枯菊を焚いて詠んだ句が

かなりあるのです。

 

 

枯れ菊を焚くと

どのような香りがするのでしょう

 

 

枯菊の 名残の香とて 焚かれけり

稲畑汀子

 

枯菊の 焚けば残りし 香のありし

稲畑汀子

 

 

不思議なこと

と私は思うのですが

 

枯れ菊を詠んだ俳句の多いこと!?

 

 

枯菊を 括れば胸に 日の匂い

森有禮

 

枯菊を焚いて鼻澄む夕べかな

臼田亜浪

 

 

枯菊に

枯れても花の色を残し

消え行く命の哀しさと哀れさと

枯れた菊からも

秋のお日さまの香りがして

焚けばなおのこと

薫きしめたくなるような香りが・・・

 

 

枯れた菊を焚くことにしました。

その前に

藤袴も焚いてみることに

 

 

 

 

 

鼻を近づけると藤袴の香りがしますが

以前ほどではありません

 

 

火をつけると

 

 

 

 

一瞬で燃え上がってしまいました。

フジバカマの香りが立ち上りましたが

雨上がりの芳しいあの香りではありませんでした。

藤袴は湿気と仲良しかもしれませんね。

 

 

龍脳菊は花の部分に色を残し

茶色に変色しておりました。

 

 

 

 

火は少しずつ燃え広がります

 

 

 

 

 

 

 

少しの量の枯れ菊ですが

煙が立ち上り、煙に香りが・・・

初めは

お線香のような香りがして

確かに菊の香りが漂いました。

 

次々に花開く菊の盛りの香りではなく

微かに苦く、とても落ち着いた爽やかさ

とても不思議な香りが混じっているのです。

 

香りの表現はとても難しいのですが

燻銀のような香り?

この煙で

無病息災、長寿が叶いそうな

気もしてきました。

 

 

菊はとても丈夫で

花の命もとても永く

枯れてもなお

その香りを愉しむことが出来るのです。

 

 

移ろい菊も

日本人の心をとらえましたが

枯れ菊もまた

私たちの心をとらえ

永遠の香りを放っているように思えます。

 

暮れの忙しい中のひととき

庭を整えながら

今日は戸外で香りを愉しみました。

 

薫物としての香りではなく

自然そのままの香りもまた格別です。

 

日常の中の香り

是非お試しください。

くれぐれも火にはお気をつけ下さい。