ヨモギの香りがしていたでしょうか?「蓬生・よもぎふ」の庭 | 横浜の香り教室 平安の香りと親しむ平安朝香道

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東急電鉄日吉駅3分にある平安の香りを創り楽しむ教室です。平安時代、貴族や「源氏物語」の主人公光源氏がたしなんだ香り創りや楽しみ方をご紹介。(by平安朝香道 朝倉涼香)

グリーンハートヨモギの香りがしていたでしょうか?  

  「蓬生・よもぎふ」の庭

 

 

ご訪問ありがとうございます

平安朝香道の朝倉涼香です

 

 

 

いつまで経っても真夏のまま

明後日辺りから

涼しくなるととのことですが・・・

 

 

毎年繰り返されるこの暑さ

日本の四季がなくなり

二季になるかもしれないとか

 

本当にそうなっては哀しいですね。

 

 

暑さのために?

わが家の庭は荒れ放題

暑さで木の葉がすっかり日焼けして

今にも枯れそうで心配です。

 

庭中スッポリと覆ってしまうわけにも行かず

夕方にたっぷり水撒きをいたしますので

たっぷり吸水してもらうしかありません。

 

癒されるはずの庭が

悩みの庭となっております。

 

 

暑さで除草を怠っている間に

「源氏物語」の第十五帖「蓬生」(よもぎふ)

に登場する末摘花(すえつむはな)

の邸(やしき)の庭

 

それを思わせるようになりました。

末摘花のお庭のように

広くはございません。

 

 

 

 

 

季節の違いと

生い茂る草の名に

違いはありますが

正に蓬生です。

 

 

わが家の庭の雑草は

(「雑草という植物は存在しない」 牧野富太郎。

富太郎氏がモデルの朝のNHKドラマの主人公牧野万太郎も

同じように申しておりました。富太郎氏も申していたそうです。)

 

主に

 

メヒシバ、エノコログサ

サオトメカズラ(ヘクソカズラ)

ツルマメ、など

名前を上げればまだまだ

 

 

一方「蓬生」

に登場する雑草は

蓬(よもぎ)

葎(むぐら・雑草の総称)

浅茅(あさぢ・もとはチガヤ)

などです。

 

蓬や葎、浅茅は全て

荒れ果てた庭を表現したもの

キク科のヨモギや、チガヤなどのイネ科の植物

蔓性の草はどこまでもがツルを延ばし

生い茂った荒れた庭が目の前に浮かびます。

 

 

源氏が須磨に退去する以前に

契りを結んだ故常陸宮の姫君の末摘花

何年も源氏に忘れられて

庇護を失った末摘花の邸は

ますます荒れ果てていたのです。

 

 

数年後に帰郷した源氏は

花散里を尋ねる途中で

見覚えのある木立に足を止めたのです。

 

 

松に掛かる藤の花が風に揺れ

麗しい香りを漂わせていました。

 

末摘花の邸と分かった源氏は

従者惟光に案内されて庭を歩きます。

 

月明かりの美しい晩です。

 

 

 

 

 国宝源氏物語絵巻「蓬生」複製巻子本  左が源氏、右は従者の惟光

 

 

末摘花の邸の庭を

樹木から落ちる露に

濡れないように傘を差し

蓬むぐらに降りかかった露を

惟光が鞭で払いながら

源氏を案内する場面です。

 

 

 

露にぬれた蓬を踏みしだいて歩くと

ヨモギの良い香りがしていたのでは?

 

卯月の長雨の合間ですから

春の草花が勢い良く伸びて

雨後にはより一層繁ってくるころです。

 

 

どちらの画も

アサジやムグラと表現するには

草の数も少なく

草丈も高くはありませんね。

 

 

 

「源氏物語」「蓬生」 の扇 土屋正巳作の写し

 

 

巻子本は、色が薄れておりますので

彩色されるとこのようになるかもしれません。

 

形も色もはっきりはいたしません。

 

やがてこの邸は

源氏により素晴らしい邸に再生されます。

末摘花は、源氏の君を

何年も待った甲斐がありました。

 

 

わが家の源氏は夫?

見るに見かねて

ほんの少し除草してくれました。

 

この庭は私が再生しなければショボーン

 

末摘花のお庭のように

見事に再生できると良いのですがキラキラ