香りづくりの要は沈香(じんこう) | 横浜の香り教室 平安の香りと親しむ平安朝香道

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東急電鉄日吉駅3分にある平安の香りを創り楽しむ教室です。平安時代、貴族や「源氏物語」の主人公光源氏がたしなんだ香り創りや楽しみ方をご紹介。(by平安朝香道 朝倉涼香)

香りづくりの要は沈香(じんこう)

 

 

ご訪問ありがとうございます

平安朝香道の朝倉涼香です

 

 

 

 

 

春を通り越して初夏の陽気となりました

過ごしやすい日が続いて

気分も開放的になりますね。

 

このまま春へ突入

と言うわけには行かないと思いますが

とてもありがたいことです。

 

 

和室での作業もはかどります。

やはり作業するには

ポカポカのお部屋の方が気持ちいい~

 

お稽古のお休みを利用して

香材料の整理、整頓をしています

 

 

平安朝香道で基本となる香材は

何といっても沈水香(じんすいこう・沈香)です。

 

沈香がなければ

薫物を作ることが出来きないのです

使用料は全体の3割~5割が沈香です

 

とっても大切な香材料なのです。

 

 

沈香ってどのようなもの?

 

「日本書紀」によると

推古3年(595年)の夏に

香木が淡路島に流れ着き

発見した島人が火にくべると

芳香が立ち上りました。

その香木を帝に献上しました。

 

「聖徳太子伝略」には

聖徳太子がその香木を沈水香木だと

判断しました。

 

日本における沈香の最も古い記録です。

 

仏教伝来(538年)のころには

渡来していたかもしれませんが。

 

 

 

 

淡路島に漂着した香木と同じ

沈水香木

この木から採取した香料が

沈香と呼ばれます。

 

沈香は日本には存在しないものです

日本で採取できれば苦労はしないのです。

 

ベトナムやインドネシア、タイなど

東南アジアの限られた場所で生育する樹木です。

 

ジンチョウゲ科の常緑高木(10~30m)

想像を超える高木ですね。

 

その木に何らかの理由で傷がつき

その傷を補修しようとする樹液と真菌とが

長い年月の間に作用し合い

老木または倒木となり、年代を経て

芳香物質が生まれます。

それが沈水香木です。

 

30年以上50年経たなければ

芳香を認められないとなると

気の遠くなるお話です。

 

 

その高木は水に沈みます

普通の木なら水に浮くはずですよね。

 

水に沈むので沈水香木と呼ばれるのです。

 

様々な条件が重なって

奇跡的に出来るとても貴重なものなのです。

 

しかも場所や様々な条件によって

沈香の香りが違ってくるわけです。

 

 

 

沈香の中でも最上の香りといわれ

希少な香が伽羅(きゃら)と呼ばれていました。

現在は成分の違いで

沈香と伽羅は区別しています。

 

沈香の類ではあるけれど

伽羅は特別扱いです。

量的にも金額的にも

手の届く香ではなくなっています。

 

 

沈香についても年々希少性が増しています。

沈香の人工栽培も試みられ

一部では使用しているそうです。

 

 

 

将来は当道でも

人工の沈香を使う日が来るかもしれません。

それも仕方ないことと考える日々です。

 

その時代時代に対応するように

薫物を作っていかなければなりません。

 

沈香がなければ

薫物は作れないのですから・・・

 

 

日本に沈香と代わる物はないのかしら?

 

ないのでしょうね

あれば使用しているはずです。

 

でもまだ誰も知らない山奥にひっそりと

誰にも発見されずに

芳香を溜めて佇んでいるかもしれません。

 

 

 

香材料を出し入れしながら

つらつらと思うことをしたためました。