時代を超えて秋の香りは虫の声  | 横浜の香り教室 平安の香りと親しむ平安朝香道

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東急電鉄日吉駅3分にある平安の香りを創り楽しむ教室です。平安時代、貴族や「源氏物語」の主人公光源氏がたしなんだ香り創りや楽しみ方をご紹介。(by平安朝香道 朝倉涼香)

時代を超えて秋の香りは虫の声

  

ご訪問ありがとうございます

平安朝香道の朝倉涼香です

 

 

昨日は一日エアコンなしで過ごせました。

今日はどうでしょう?

 

 

昨日は、夏の終わりを告げる

ツクツクボウシの鳴き声も聞こえ

秋が近いことを感じました。

 

金木犀の木で鳴いていたのでしょう

とても大きな響く声でひとしきり鳴くと

突然聞こえなくなりました

 

夏と共に去っていく

セミの鳴き声でした。

 

 

               

 

まだまだたまらなく暑い日が

あるのでしょうか?

 

すだく虫の音とまではいきませんが

日が陰ると鳴きだしたのが

秋の虫たちです

 

 

  あれ松虫が鳴いている

     チンチロ チンチロ チンチロリン

   あれ鈴虫も鳴き出した

       リンリン リンリン リーンリン

 

お馴染みの「虫の声」(作詞作曲不詳)の

歌詞です

 

マツムシにスズムシ、クツワムシにウマオイ

秋に鳴く虫が数多く歌われています。

 

 

子供たちが幼かったころ

鈴虫の美しい鳴き声に惹かれ

飼育したことがありました。

次の年も鳴くようにと

庭に放したことがあります。

 

秋が終わり次の秋が来ても

鈴虫の鳴き声は聞けなかったと記憶しています。

 

今年、何を思い立ったのか

長男がカブトムシとスズムシを飼い始めました。

 

 

 

 

そして鈴虫を庭に放したそうです。

 

あれ、あれっ?

鈴虫を庭に放したお話

「源氏物語」の「鈴虫」にあったのよね~

 

千年も前のとてつもなく遠い昔

野原で鳴く秋の虫を源氏の庭に放した

 

と同じことをする者が現代にもいるなんて!

 

平安朝香道のブログに

お越しになった方の中にも

同じように鈴虫や松虫を

庭に放たれた方がいらっしゃるのでは?

 

とても不思議なことですね

 

 

何かを感じる心って

何百年、何千年経っても

ずっとずっと変わらないのかもしれません。

 

 

現代と違って

平安時代の鈴虫は今の松虫のことで

松虫は鈴虫のことと言う違いはありますが

鳴き声は昔も今も変わることがないのでしょう。

 

虫の声を聞くと秋の香りが

たちまち立ち上るように思えるのです。

 

 

源氏の君は出家した妻(女三宮)との

仲を断ち切れず

秋の夕暮れ尼宮を訪ねるのです。

 

十五夜の月とすだく虫の音

なんともベストシチュエーション

 

虫比べをしたり

琴を弾きだしたり

いつの間にかお知り合いが

琴の音を聞きつけて集まり始めるのです。

 

「鈴虫の宴」と称して

虫の音を聞きながらの宴が

始まったのでした。

 

虫の音を聞いて

尼宮が心許すのではないか?

 

源氏の計画的な作戦

ととれないこともありません。

 

いずれにしても女性だけでなく

男性をも惹きつける源氏の君です。

 

哀しくなくても

さえざえとした月を見るにつけ

わびしくもの悲しく

松虫や鈴虫の声を聞いて

切なさが胸を締めつける

やがて

ほんの少しのぬくもりが欲しくなる

しかし・・・

 

このシナリオを書いたのは

紫式部なのですから

源氏の君の心理作戦は

紫式部の心理作戦と言うことになります。

 

何かを感じる心って

何百年、何千年経っても

ずっとずっと変わらないのかもしれません。

 

と申しましたが

ひょっとして現代は

 

 

「虫の声?うるさいだけじゃないパンチ!

 

 

そう感じる日本人も増えているかもしれません。

 

でもいつまでも

ずっとずっと

秋の虫の声を愛でる心を

持ち続けてほしいものです。

 

もう少し経つと

吹く風に冷たさを感じ

木々が色づき

本格的に秋の香りに包まれてしまいます。

 

暑さももう少しの辛抱ですね音譜