●薫物合わせ
平安朝香道の朝倉涼香です。
ご訪問ありがとうございます。
「源氏香」って平安時代の遊び?
いいえ、決して平安時代の遊びではありません。
現在の「源氏香」と呼ばれる組香は「源氏物語」の帖数になぞらえたもので、江戸時代中期に考案されたものです。
「源氏香」は平安時代にはなかった遊びなのです。
平安時代に行われていたのは「薫物合わせ(たきものあわせ)」と呼ばれるもので、
その「薫物合わせ」の原型が「源氏物語 梅枝」の帖に詳しく描かれています。
「梅枝」では、明石の姫君の入内のために光源氏が薫物比べを思い立ち、六条院の御方々、朝顔の姫君、紫の上、そして光源氏自身も加わりそれぞが独自の香を創作しました。
後日創作した薫物を持ち寄り、それを焚いて、判者(審判)が判詞(判定のことば)を述べると言う「薫物合わせ」の原型を行ったのです。
平安時代には「歌合わせ」「絵合わせ」「貝合わせ」など人々が左右に分かれ、物を比べ合わせた「物合わせ」が行われました。
平安時代に香を聞き比べ、競ったのが「薫物合わせ」
そして江戸時代から始まった組香が「源氏香」なのです。
平安朝香道では、師範以上になると「源氏合わせ」として「源氏物語」
の一帖から始まって帖ごとの香を独自に創作しております。
オリジナル薫物を作る時、その月の課題を、情景や状態、心象風景などを思い描いて、香を合わせていきます。
ある人は言葉を操る小説家や作詞家のように、ある人は音符を操る作曲家や演奏家になったつもりで香を合わせ、それぞれの思いを描いていくのです。
心を研ぎ澄ますと、同時に心を落ち着かせ、完成した折りには、日常では味わえない達成感を感じることが出来ます。
後日、それぞれ創作し、持ち寄った香を聞き、楽しく和やかに「薫物合せ」を行っております。
現代的な表現にすると、様々な香をブレンドした物を皆でテ-スティング、またはスメリングし評価するとでも言えるでしょう。
様々な思いで創作したそれぞれの香を聞くひとときは、平安朝香道をたしなむ者の醍醐味であり、至福の時なのだと考えております。