洋服や他の国の民族衣装に比べて
着物は長い袖が目を引きます。特に
振袖の袖は長いのが特徴です。
それは昔人々は袖を振ると愛する人の魂が呼び寄せられる
と信じていたからなのです。
恋する女心の募る思いが、
着物の袖をしだいに長くしていきました。
万葉集 額田王の有名な恋歌
「あかねさす 紫野ゆき 標野ゆき
野守は見ずや 君が袖振る」
これは、額田王を恋う大海人皇子に
「そんなに袖を振ると、野守にみとがめられますよ」
と、言っているのです。
古くは、飛鳥時代から恋する人は
袖を振って、相手の魂を呼び寄せよう
と思ってました。
そこで現代の振袖は床に届くほど長くなり、
その長い袖を持つのが、ミスの第一礼装振袖なのです。
所が結婚すると、ミセスの第一礼装は
留袖になります。
留袖とは、袖を短く留めた衣服
ということになります。
何故、結婚したら夫以外の他の
魂を呼ぶために、袖を振ったりしません、
と言う貞節の表現なのです。
このようにこれはけじめのことであり
自分の立場をわきまえる礼の表現
でもあるのです。
着物はこのように深い意味を持ってます。