やはり、世界中でいちばん素晴らしい国は日本だと思っています。日本は、豊かな自然に恵まれ、山海の珍味を味わうことができ、言葉も一つ。これほど幸せなことはありません。何より、四季の区別があるのは、ほかのどんな国でも経験できない魅力です。日本にいればそれが当たり前のように感じますが、ほかの国ではどれかが欠けています。外国に何日かいると飽きてきたり、日本がなつかしくなるのは、そのためでしょう。それに加え、日本が素晴らしいと思うのは国旗と国歌です。
日の丸-これほど美しいデザインの国旗はほかにないと、私は思っています。一点の汚れもない白地に、太陽を示す赤。シンプルですっきりしていて、しかも、そのバランスが素晴らしい。君が代もそうです。千代も万代も時がおだやかに過ぎていけば、石もそのうち岩のようになり、そこに苔が生え、最後は一体となる。それと同じように、私たちの人生も、おだやかで盤石なものでありたいという願いが込められています。むずかしくいうと、自然と人間との共存を称えたものなのでしょう。これほど優しさにあふれた歌詞の国歌はほかにありません。
ところが、その素晴らしい日本という国が、いまはその力をすっかり失っています。政治家が悪い、役人が悪いと、批判するのは簡単ですが、本来それを動かしていくのは私たちです。それができずにいるために、とんでもない社会に変わってしまったのです。私は最近、「清く、明るく、美しく、直き心」こそ大切だと思っています。それが一つでも欠けると、いい仕事もできませんし、おだやかな家庭も築けません。ましてや、いい世の中をつくることなど、夢のまた夢といってもいいでしょう。ドロドロに汚れ、暗い、不潔で濁った、そして曲がってひねくれた心の人は、何をやってもうまく行かないのです。それを正す、ただ一つの出発点が親を大切にすることです。
いま自分が生きている根もとに両親がおり、その両親それぞれの根もとにも両親がおり……という、ごく当たり前のことにちょっと注意を向けるだけで、自分の生き方の基本を考え直すきっかけになります。そのきっかけをつかみ、日々の生活を大きく変えることのできた人が沢山います。
幸せをつかむヒントは、遠い彼方にあるのではなく、ごく身近なところにあるのです。仕事がなければ幸せになれない、お金がなければ何も始まらない、いいパートナーがいなければ気持ちが落ち着かないなど、私たちはついつい、自分以外のところに何かを求めがちですが、そうではありません。そうしたものの源泉は、実は自分の足もとにあるのです。「照顧脚下(足もとを照らして顧みる)」から始めれば、それが「一灯照隅 万灯照国」に至るというのですから、一人ひとりが先祖に想いをはせ、心の底から感謝の念を抱けば、驚くほどの変化が起こります。
先祖に日々感謝しながら、日の丸のようにすっきりした、君が代のような安穏を望む「心」があれば、幸せは、思った以上に早く手にすることができるのです。私とともに、清く、明るく、美しく、直き心で日々を生きてまいりましょう。