壊れているクーラーと私の心 | オルゴールとメリーゴーランド キラキラ輝く

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不思議な世界はオルゴールの奏で

夢と愛に満たされて生きる

母が水漏れを起こし
工事中、一週間うちに来た

私は母に毎日ご飯を作り
起きている間、ずっと話をした
母の脳が活性化するように
笑顔になるように



とても、とても疲れた




母が帰り
入れ替わりのように
夫が退院した

血圧が高いので
体重を減らすよう言われた夫の為
私はクーラーの効かないリビングで
毎日カロリーを考えて料理を作り
クーラーの効かないリビングで寝た

クーラーのある寝室は
病み上がりの夫に当然ながら譲った


リビングのクーラーは、
去年の冬に壊れていた

去年の冬
夫が交通事故で入院し、
退院してすぐ脳腫瘍で倒れ

壊れたクーラーの事など忘れていた




母が来た時はまだ
暑さもマシだった
母が熱中症になるのは防げた


夫が帰って来て
キッチンに立ち続けた私は
呼吸が苦しくなり
暑さと脱水で
自律神経が乱れ

腹痛と吐き気と頭痛で
2週間起きれなかった

病院に行っても異常はなく
脱水とストレスだと言われた






やっと新しいクーラーがくる

取り付け工事のため

夫がワン達のクッションを退かせと

邪魔だと言った


いつもワン達が寝ていたクッションは
そのままそこにあの日のままある


これだけは残しておいてと
私の座椅子の真横に並べて置いてある

その上には私がワン達を感じた
犬のぬいぐるみと置物が乗せてある




夫と言い合いになった

クッションがそこにあっても
クーラーは絶対取り付け可能だ


「ずっと置いとくんか」







夫にはわからない
クッションはここに必要なんだ
私の心の為に必要なんだ






夫が入院している時、
送ってくるあまりに優しいラインに
私は違和感を感じていた
優しさに戸惑った




家に帰って来た夫は
前のままだった
優しさなどやはりなかった




その後
「悪かった」と謝ってくれたが


私は涙が止まらなくなっていた




あの子が天国に行った日が蘇っていた

一生懸命縛っていた袋の硬いゴムが
切れてしまった




私は気づいた


ワン達が亡くなって
6年経とうというのに
私の心はまだ
止まったままだという事と




命にかかわる病気になった夫を
愛していると思った自分の心が
やはり思い違いだったことを…