ヤクザの仔犬
お花の柔らかい髪の毛を撫でていると、仔犬みたいだなーと思う。
興奮すると、鼻息が荒くなる所もそっくり!
仔犬といえば、小学生の頃近所に「ヤクザの家」があって、そこの犬小屋で飼われていた犬を友達とよく見に行っていた。
ある時、そのワンちゃんが仔犬を産んでいた。7、8匹の小さいかわいいかわいい仔犬たち。
もお、かわいくってかわいくって学校が終わると、毎日のように通った。
しかし、そこは「ヤクザの家」なのである。
黙って敷地内に入り、許可なく飼い犬と遊んでいる。
しかも、勝手にサラミやらお菓子やらを与えていた。
内心いつ怒られるか(いや、怒られるだけでは到底済まないかも!)ヒヤヒヤ、おどおどしていた。
犬小屋から、少し奥に進むと「ヤクザの家」のリビングが見える。
時折、中で会合らしきものを開いている様子も見えた。
黒いサンングラスをかけた男。坊主頭の男。作業着を着た男。いかにも腕っ節のよさそうな男たち・・・。
「ウチラやばいことしてるよなー」と思いつつ、仔犬のかわいさについつい通うのを止めれなかった。
しかし予想に反して、何事もなく毎日は過ぎて行った。
そして、私たちもその内「ヤクザの家」には行かなくなった。
ある時、「あーあの仔犬たちは今どうしてるだろ・・・。」とふと思い、一人で見に行ってみた。
仔犬たちはいなくなっていた。
それどころか、「ヤクザの家」自体が蛻の殻だった。
そこには、ポツンと取り残された犬小屋だけ。
後で知ったのだが、「ヤクザの家」と思っていたそこは、
建設会社であったのだった。
○○組。


