初回限定盤には「豪華フォトブックレット」(ケースの背表紙にそう書いてある)が付いている。踊っている最中の写真が主だが、どれももれなく美しい。手のひらを広げて五本指をそろえたところ、あるいは人差し指だけ鋭く突き出した様子など、文字通り指先まで神経を行き渡らせていることをうかがわせる。
 Perfumeのダンスはどの曲も最初から最後までほぼすべて振りが決まっており、それをいかに美しく見せるかを考え抜いて踊っているわけだから、どの瞬間を切り取っても美しいのは当たり前といえば当たり前だ。もちろんそんな域に達するのが並大抵のことではないのは素人でも感じ取れるので、奇跡のような一瞬一瞬を積み上げたPerfumeのダンスに見る者は圧倒される。
 何でもないような場面もそうだ。Blu-rayの映像でいえば、Party Makerの冒頭部分。3人は両足を広げて正面向きに直立し、両手は体側からやや浮かせてまっすぐ伸ばしている。あの単なるスタンバイ状態のようなポーズにさえ魅入られる。
 ところで、ふりかえるといるよの間奏部分。ここは振りが付いていないので、かしゆかは観客に手拍子を促し、あ~ちゃんは笑顔で手を振りながら歩く。一方、のっちはというと、前後に軽くステップを踏むばかりだ。最強の踊り手の所在なげな表情はブックレットにも記録されている。
 NHKドラマ「サイレント・プア」第2回では、引きこもり青年(渡辺大知さん)がコミュニティーソーシャルワーカー(深田恭子さん)の助けを借りて新聞配達のバイトを始める。新聞店には「毎朝経済新聞」(略称、毎経)の看板が。毎日と朝日と日経を混ぜ合わせたような新聞名だが、ロケは日経の販売店(現在は閉店)で行ったようだ。日経は現在、テレビコマーシャルなどで渡辺さんを「田中電子版」として起用している。NHKも洒落が利いていますな。
 深田さんは10年ほど前、テレビ朝日のドラマで今回の新聞店から歩いて2分ほどの飲食店(現在は閉店)でもロケを行っていた。深田さんは覚えているだろうか。
以下、ネタバレあり。

 オペラ座の怪人(以下、怪人)の10年後の話。怪人ファンにとっては、知らなかったほうが幸せだった後日譚。
 怪人の魅力の本質は、醜い者が美しさに憧れ、なおかつその憧れが報われないという二重の哀しさにある。怪人の終幕で、クリスティーヌはラウルの命を助けるため、マスクを外したファントムに口づけし、自らの身を捨てる選択をする。クリスティーヌのラウルに対する無償の愛を思い知らされたファントムは、2人を逃がして姿を消す。あとに残したマスクは、二度と皆の前に現れないというファントムの決断の象徴だったはずだ。
 ところが、本作では、ファントムがクリスティーヌをおびき出して恥ずかしげもなく姿を現す。それどころか、かつて「月のない夜」にクリスティーヌがファントムを受け入れたことが明かされ、そのクリスティーヌは今でもファントムに思いを残している様子だ。これでは怪人の世界観の全否定ではないか。A・L・ウェバーはどういうつもりで本作を作ったのか。
 物語としての出来も悪い。それを言うと、怪人も陳腐なところがあるが、怪人より格段に悪い。四角関係、夫以外の男との間にできた子、妻との関係に悩んで酒に溺れる夫…。まるで昼ドラとしか思えない。結末のメグの言動も唐突過ぎて驚く。最後の曲を聞いて本作のタイトルをようやく思い出したが、理不尽さが強い苦味として残る。
 音楽も弱い。心を揺さぶる美しさは、断片的に感じられはしても、怪人と比べると圧倒的に不足している。ところどころに挿入された怪人のメロディーが、なんとも突出して響く。
 それでも、あのファントム、クリスティーヌ、ラウル、メグ、マダム・ジリーに時を隔てて会えたのは、旧来の知人に再開したときのように感慨深い。たとえ姿が変わり、状況が変わったとしても。
 体調が懸念された鹿賀さんは、声量こそやや不足していたように思えたが、破綻なく役をこなしていた。平原さん、笹本さん、香寿さんはそれぞれに達者ぶりを見せつけた。特に笹本さんが歌、芝居とも生き生きしていて、最も引きつけられた。田代さんは存在感を出しきれていない感じがしたが、役柄からして仕方なかろう。
 いろいろ酷評したが、今度は市村ファントムの日にもう一度見直そうか、と迷っている。
 
 初回限定盤の特典映像は既に見ていたのだが、本編は今日初めて見る。実はそれほどは期待していなかった。なにしろ収録日は会場にいたし、WOWOWの放送も録画して何度か見ていたから。
 ところが…Enter the Sphereで涙があふれ始め、そのままSpring of Life、Magic of Loveと涙を流しっぱなしだった。我ながらバカじゃないかと思ったが、仕方ない。
 3人の姿が美しすぎる。よくぞここまで来た、と思う。わけても、のっちのひときわすらりとした手足のしなやかな動きはどうだ…。
 最初のMCで平静さを取り戻す。やがてParty Maker。ライブのクライマックスとなることがアルバム発売時から予想されていた曲だが、巨大会場では3人の姿がよく見えず非常に消化不良だった。映像でようやく全容を楽しむ。できれば2000人規模の会場で見たいものだ。途中、ひとり静止したままのかしゆかは、かしゆか以外の何物でもない。
 コンピューターシティの最初のポーズでまたうるっとする。PTAのコーナーはサンタ・トナカイ・雪ダルマに加えて、ぐつぐつ煮込みハンバーグもちゃんと入っている。あの食品メーカーには許可をとったのだろうか。
 チョコレイト・ディスコが終わって、最後のMC。あ~ちゃんの涙の量多し。当然、もらい泣き。当日はあんなに泣いているとはわからなかった。あ~ちゃんは大阪初日も超ハイテンションだったが、国内では久しぶりのワンマンライブに思うところが大きかったことを改めて感じる。
 エンディングのDream Land。球体へと入っていくあ~ちゃんの足の進め方がこれまた美しい。曲は「Come again」で終わり、3人を包み込んで閉じた球体には「SEE YOU NEXT LIVE」のメッセージが映る。
 NEXT LIVEとなったPerfume FES!! 2014には幸い東京1日目、広島1日目、石川の3公演にcome againすることができた(ルー大柴風)。Blu-rayを見て、いまさらながらソウルにも行きたくなったが、やはり都合がつかないので諦める。
 と、思っていたら、そのソウル公演の終了直後にメンバーからファンクラブ会員向けのコメントを緊急配信するとのこと。「超重大発表があるかも」という思わせぶりな告知を受けて、ファンの間では全国ファンクラブトゥワーへの期待も広がっているようだが、World Tour 3(北米編)の可能性もありそうな気がする。P.T.A.会員としては前者のほうが一段と嬉しいが、果たしてライブにcome again againできる日は近いのか。
 NHKドラマ「サイレント・プア」主題歌に起用されたPerfumeの「Hold Your Hand」について、どんな意味なんだろうという話を先月書いたのだが、昨日放送の第1回エンディングで流れた歌詞を聞くと「I wanna hold your hand」と歌っているようだ。結局、ビートルズのあの曲と同じ。意図するところは全く違うけど。曲をちょこっと聞いた限りでは、ほとんど心に響かない。これもいつものことだが。
 ドラマのほうは…どうなんだろうか。見ているのが辛くなってくるような、もっと重い話かと思いきや、第1回のテーマであるゴミ屋敷問題は深田恭子さん演じるヒロインが思いのほかあっけなく解決してしまう。北村有起哉さんが扮する区役所のエリート課長も人物設定がステレオタイプで気恥ずかしい。ついでに言うと、区役所の課長が個室を持っているとは思えないが。えーと、まあ、深田さんの美しさに免じて来週も見てみます。
 昨夜は宇多丸さんのいい話がたくさん聞けたが、どれもうろ覚えで、ほかのお客さんのツイートを見て思い出す始末。皆さん、なぜそんなに記憶力がいいのだろう。でも宇多丸さんの熱さと優しさは私もちゃんと覚えています。
 なので、ざっくりとした意図しか伝えられないのだが、宇多丸さんはPerfumeが対バンFESを行っている理由について、ほかのアーティストと共演することによって新たな研究、新たな工夫(K.U.F.U.)をしようという意思の表れ、といったようなことを話していた。あ~ちゃんは、自分たちが大好きな日本の音楽の良さをもっと知ってもらうきっかけにしたいから、としか語っていないが、結果的にでもPerfumeの活動をレベルアップさせるいい刺激になれば嬉しいし、たぶんそうなると思う。
 それはいいとして、今年のFESは去年と比べても、Perfumeのことを好きな、Perfumeに優しいアーティストを集めすぎてはいないか。去年の斉藤さん、奥田さん、ホルモンと比べ、今年の方々はPerfumeにちょっと寄りすぎ、合わせすぎな気もする。もちろんPerfumeファンとしては嬉しいことなのだが、「僕たち、客席を暖めておきます…この後はお目当てのPerfumeでーす」みたいなことを聞くのは少々しのびないし、Perfumeの3人の研究、工夫のためにもあまりよくないような感じがするのだが。
 私は残り3公演には行かないが、秦さん、高橋さん、ホルモンの皆さんはPerfumeとどんな距離感で共演してくれるのだろうか。まあ、ホルモンは去年と同様にバリバリで自分たちの持ち時間を使い果たすと思うけど。
 宇多丸さんのリクエストに応える形でセトリにPSPSが入る。曲が終わった直後、隣のお客さんが私の代わりに叫んだ。「サイコー」。
 Baby cruising LoveのPVは愛の証明=照明という洒落だったのですね。今日、Perfume Clipsを見ていて初めて気が付いた。
 放送40分前にLISMO WAVEをiPadにダウンロードし400円払って待機。LISMO WAVEは本当にほとんどディレイがない。
 開始早々、ラジオ単独出演にファンがびっくりしているだろうから、と意図説明から入る。正確な表現は忘れてしまったが、出演は自らの「直談判」(発案)であること、また、しゃべりの技能を磨いて他の2人のメンバーの考えをさらに理解し広く知らせられるようにすることが(PerfumeのメインMC/スポークスパーソンとしての)自分の責務であるとの趣旨が語られた。大方のファンの期待に沿うコメントを冒頭に丁寧に話してくれたことにファンへの強い思いを感じる。
 Perfumeの楽曲3曲を交えつつの30分はあっという間だったが、Perfume LOCKS!と比べてもフリートークの自由度が大きい感じで、Perfumeの活動に関するあ~ちゃんの見解が今後も聞けるのではないかと楽しみだ。半面、ひとりしゃべりだと、話があらぬ方向へどんどん脱線していくという、例の3人の会話に特有のおもしろさは期待しづらい。来週からはゲストも来るとのことで、聞き手/進行役としてはある程度お行儀よくせざるを得まいが、時にはゲストのほうがフォロー役に回ってしまうような奔放さを見せてください。
 ファンとして覚醒したのはたかだか2年前だが、Perfumeのことはポリリズムのころから知ってはいた。

 2007年当時はCSやケーブル局向けに番組を制作・提供する会社で働いていた。職場のあちらこちらに置かれたテレビには、自社チャンネルの番組が朝から晩まで映っていた。

 CSやケーブル局のチャンネルは、一部を除いてCMを充分に確保できない。仕方なく埋め草(フィラー)として使うのは、自社チャンネルの番組宣伝とACの公共広告だ。

 あの夏は例のNHK/AC「環境・リサイクル」キャンペーンのCMを職場にいながら日々繰り返し目にし耳にすることになった。ほどなくあの3人娘がPerfumeというグループであることも知れた。

 たぶんあのときに「Perfume熱」に感染したのだが、発症には至らなかった。あともう一歩、背中を押されるきっかけが足りなかった。その後、武道館ライブの批評記事を新聞で読んだ記憶があるし、気になる子ちゃんはほぼ毎週見ていたというのに。

 2011年12月のある金曜日。夕刊のイベント告知欄にJPNツアーのチケット発売予定を見つけた。行ってみよう、と思った。

 脳内にPerfumeレセプター(受容体)を持つ人は、遅かれ早かれPerfumeを好きになる運命にある。長い長い潜伏期間がようやく終わろうとしていた。