やっと少しずつ生活に落ち着きを戻しつつある環境だが、海外に出かけることが多く、すでに東京でも気がつけば初冬のキーンとした冷たい風が肌をさす。
秋は各地で色んなイベントが開催され、五感を刺激させるにはベストシーズンのはずだが、休みなく毎日深夜まで仕事に追われ余力なく過ごしていた為、残念ながら見逃したものもいくつかある。
これだけ時間というものの有り難さを感じることもないが、どこかを削ずれば、おのずと睡眠時間となってしまうが体力的にはきつい。
気にはなっても行動出来ることには限界があり、元来のあれもやりたい、これもやりたいの卑しい性分が災いしている。
気持ちはあれもこれもと欲望に限界はなく、エンドレスで願望してしまうが、現実はほど遠いもので、結局ほとんど何もしていないのに等しく、後になり後悔の念に苛まれることも、もうかれこれどれくらい繰り返しているのだろうか。
他人を意識することはほとんどないが、世に存在する要領のいい人や片付けが得意なひとはある意味うらやましい。
気持ちとしてはずっと走りっぱなしで、たまにはひと息付きたいところだけれども、ここ数日は、年明け1月早々から2009年の最初の海外出張が始めるため、今から世界で開催されるファッション展示会のカレンダーを見ながら、トラベル日程の予定を組むのに一苦労している毎日。
行き先はここ数年お気に入りのブラジルからヨーロッパに渡り、約1ヶ月間のラウンドトリップの長旅となりそうだ。
生のブラジル文化に触れてかれこれ4年の歳月が経つが、ブラジルの想像を絶する広大な国土のまだほんの一部の都市にしか行けていない。
僅かではあるが独特な南米文化にも親しめるようになり、仕事の合間で時間は本当に限られてしまうが異文化の魅力ある未知との遭遇を期待したい。
どうしても仕事はサンパウロとリオ デ ジャネイロが中心となるが、次回はブラジルの首都ブラジリアにも是非足を運んでみたい。
ブラジリアの市中心部は上空から見下ろすと、翼を広げたジェット機のような形をしている。
1955年当時のジョセリーノ・クビチェック大統領は、標高1170mのブラジル中央高原ゴイアスに新首都建設に『 50年の進歩を5年で 』というスローガンで着手して、パイロットプランというコンセプトのもと道路もないような土地に1956年から僅か4年後の1960年に完成を迎える。
ブラジル建築家の重鎮ルシオ・コスタのプランとオスカー・ニーマイヤーのデザインによる協業は、無から始まり苦難の連続を経て、世界でも稀に見る過去を持たない首都の誕生となった。
鬼才100歳のニーマイヤーのデザインによるこれまでに見たことがない未来都市ブラジリアへ、次回は必ず飛んで行く予定です。
建築家オスカー・ニーマイヤーはいう
『 教養や既存の概念、ルールに縛られた建築を私は信じない。建築は夢が作り出すものだ。美の探求である。形態が良ければ、おのずと独自の美が備わる。世界にとって必要なものである自由は、私たちの行動、姿勢、そして作品の中にもなければならない。技術に基づき美を探求する。それが私たちの目的だ。』
普通でないこと、多様であり、発明的であることが美の特質だ。
整った建築物をデザインする機能主義者や合理主義者とは対極的で、限りなく自由な造形こそが、新しく美しいものへの意識と人間の創造力によって喚起する。
ブラジルの魅力はそう簡単に一度では表現出来ないほど、私に夢を与えてくれる。
28年間のヨーロッパ文化から得た個性重視の感性に、更にブラジル文化は我がままな私の感性に磨きをかけてくれそうだ。
ニーマイヤーのことばを借りれば、同じことがファッションの世界でも必ず言える、そう信じてまだまだ前を見て、想像力豊かに走り続けたい。
Obrigado !