■第18回(壇ノ浦で舞った男)の復習

 義高(市川染五郎)を失ったショックを引きずる大姫(落井実結子)。それを案じる政子(小池栄子)たち。

 九州に先行予定の範頼(迫田孝也)陣営では、義経(菅田将暉)から手筈どおりに兵糧が届かず、和田義盛(横田栄司)などは苛立ちを隠せず、不平不満をぶち撒ける。そんな中、三浦義村(山本耕史)豊後の緒方一族を手懐けて、船を出させることに成功する。豊後水軍により、範頼は無事筑前に渡り、平家との戦いを繰り広げる。

 一方、摂津の義経陣営では、梶原景時(中村獅童)が有名な逆櫓を提案し、義経に一蹴されるが、平家物語とは違って、このドラマの景時は義経の考え方にすっかり感心し、納得してしまう。二人のあいだには奇妙な絆が生まれつつあった。

 義経は嵐の中、屋島を奇襲し、平家を彦島へと追う。

 屋島の勝報が鎌倉に伝わると、義経の活躍を警戒した頼朝(大泉洋)は、義経を大将から外し、指揮を景時に委ねようとするが、景時の一芝居によって、義経が引き続き指揮を執ることになる。。

 景時は安徳天皇(相澤智咲)と、三種の神器の奪還こそが最優先事項だと強調するが、義経はあまり気にかけていない様子だ。

 義経は勝利至上主義を前面に掲げ、海戦では船の漕手を狙い撃ちし、制御を失って混乱する敵船を殲滅する作戦を立案する。

 元暦二年(1185)三月二十四日源平両軍は壇ノ浦で激突した。義経は軽やかに船から船へと飛び移りながら、安徳天皇と三種の神器を求めて、獅子奮迅の働きをしていた。

 従来のドラマでは、壇ノ浦における源氏の勝因潮流反転に求めるものが多いが、近年ではそれを合理性に欠くとする見解も少なくないようで、本作でも潮流反転説を採用してはいない。非戦闘員である、船の漕手を狙い撃ちする戦法や、陸上で待ち受ける範頼軍の働きに、焦点を当てていたようだ。

 やがて平軍の敗色が濃厚になり、「二位尼」平時子(大谷恭子)は三種の神器である、宝剣を抱いて入水し、幼い安徳天皇も女官に手を引かれ、海中に没する。それを見ていることしかできない、義経の悲鳴が壇ノ浦に響き渡った。

 すべてが終わった後、義経は頭を抱えながら、自問していた。戦いの中にしかおのれの価値はない。平家が滅び去った今、次は誰と戦えばいいのかと。

 壇ノ浦の勝報を聞いた頼朝は、政子の前で咽び泣いた。

 後白河法皇(西田敏行)は祝杯で義経を迎えるが、義経は安徳天皇を死なせてしまったこと、宝剣を失ったことを法皇に詫びる。それでも、法皇にはすっかり気に入られた義経ではあったが、御家人たちのあいだでは評判は悪い。

 鎌倉では景時が義経の言動を頼朝たちに報告し、法皇に取り込まれそうな義経の扱いが焦眉の急になっていた。

 その頃、義経は愛人静(石橋静河)正妻里(三浦透子)両天秤にかけていた。

 頼朝に警戒されていることを知った義経は、釈明のために鎌倉へ戻ることを決意し、法皇に帰国を願い出る。しかし、法皇は義経を手放したがらない。そこで、丹後局(鈴木京香)の入れ知恵で、平宗盛(小泉孝太郎)清宗(島田裕仁)父子の護送にかこつけて、鎌倉に一時帰国することになる。

 義経の一時帰国が頼朝の耳に入ると、景時は「義経を鎌倉に入れずに追い返すべし」と進言する。義時がその真意を尋ねると、景時は「両雄並び立たず」といった。

 頼朝の命令を帯びた時政(坂東彌十郎)は腰越の義経宿舎を訪れ、ここから鎌倉まではじぶんが宗盛を護送するから、義経は腰越で待つようにと伝える。宗盛は義経にかわって、その心情を一通の手紙に綴った、世に名高い腰越状である。

 宗盛は鎌倉に到着すると、代筆した腰越状を時政に託すが、頼朝にはそれが代筆とバレてしまい、義経はかえって怒りを買ってしまう。追い返されることになった義経は宗盛・清宗父子に別れの時間を与える。

 義時は、直接頼朝に会って、誤解を解くよう、義経に提案する。しかし、義経は、じぶんはもう、後白河法皇にだけ仕えるのだといった。

 

 

■第19回(果たせぬ凱旋)の予習

 鎌倉を追い返され、凱旋を果たすことのできなかった義経は後白河法皇に取り込まれて、いよいよ頼朝との対立を深めていく。

 次回の主題は、

 兄弟の仲がどう壊れていくのか。

 そして、それがいかに悲劇的であるかの演出につきるだろう。

 そうした文脈の中で、頼朝への宣戦布告、静との別れ、奥州への逃避行、秀衡との再会。それらをどう語るのか。脚本家の手腕が問われる。

※()内はキャスト。敬称略

 

 

■ストーリー予想

【予習12】第一部 第二章 源平の争乱 編(鎌倉殿の13人:2022大河

 

 

■「通称&年齢(数え)」つき配役表(敬称略)
  〇義時をめぐる人びと  主人公・義時との関係
   ★江間「小四郎」義時(23):小栗旬 (本人)
   八重(-):新垣結衣  妻
   金剛(3):●  嫡男 ※後の北条泰時

   ■「鎌倉殿」源頼朝(39):大泉洋  義兄
   北条政子(29):小池栄子  実姉
   大姫(8):落井実結子  姪
 
   ★北条「四郎」時政(48):坂東彌十郎  実父
   りく(-):宮沢りえ  継母(牧の方)
   実衣(-):宮澤エマ  実妹(阿波局)
   「悪禅師」阿野全成(33):新納慎也  義兄
   牧「三郎」宗親(-):山崎一  ※りくの兄

  〇頼朝の血縁者たち
   「蒲冠者」源範頼(-):迫田孝也

   武田「太郎」信義(58):八嶋智人
   佐々木「源三」秀義(74):康すおん

  ○義経をめぐる人びと
   ■源「九郎」義経(27):菅田将暉
   静御前(-):石橋静河
   弁慶(-):佳久創
   「新宮十郎」行家(-):杉本哲太

   藤原秀衡(64):田中泯

  〇比企尼をめぐる人びと
   比企尼(-):草笛光子
   ★比企「藤四郎」能員(-):佐藤二朗  ※比企尼の甥、猶子
   道(-):堀内敬子  ※能員の妻
   比企「藤内」朝宗(-):●
   比奈(-):堀田真由  ※比企朝宗の娘(姫の前。比企尼の孫娘)か?
   ☆安達「藤九郎」盛長(51):野添義弘  ※比企尼の娘(長女)婿
   常(-):渡邉梨香子  ※安達盛長の娘(亀御前)
   河越「太郎」重頼(-):●  ※比企尼の娘(次女)婿
   里(-):三浦透子  ※河越重頼の娘(郷姫)
   伊東祐清未亡人(-):●  ※比企尼の娘(三女)

   万寿(4):藤原響  ※後の源頼家
 
  〇三浦党の人びと
   ☆三浦「介」義澄(59):佐藤B作
   三浦「平六」義村(-):山本耕史
   初(-):久野楓名  ※後に金剛の妻となる矢部禅尼か?
   佐原「十郎」義連(-):●
   ★和田「小太郎」義盛(39):横田栄司
   岡崎「四郎」義実(74):たかお鷹

  〇御家人たち
   「大和判官代」邦通(-);●
   「小中太」光家(-);●
   仁田「四郎」忠常(19):高岸宏行(ティモンディ)
   工藤祐経(-):坪倉由幸(我が家)
   天野「藤内」遠景(-):●
   ★梶原「平三」景時(-):中村獅童
   梶原「源太」景季(24);柾木玲弥
   土肥「次郎」実平(-):阿南健治
   大庭「平太」景義(-):●
   畠山「次郎」重忠(22):中川大志
   江戸「太郎」重長(-):●
   ☆足立「右馬允」遠元(-):大野泰広
   安西「三郎」景益(-):猪野学
   千葉「介」常胤(68):岡本信人
   ☆八田「四郎」知家(-):市原隼人
   小山「小四郎」朝政(-):中村敦  ※政光の子
   結城「七郎」朝光(19):●  ※政光の子
   ☆大江広元(38):栗原英雄  ※中原親能の弟か?
   ☆中原親能(43):川島潤哉
   ☆二階堂行政(-):野仲イサオ  ※頼朝の從叔父
   ☆三善康信(46):小林隆  ※頼朝の乳母の甥

  〇平家方の人びと
   「二位の尼」平時子(60):大谷恭子
   ■平宗盛(39):小泉孝太郎
   平清宗(16):島田裕仁)
   平知盛(34):岩男海史

   安徳天皇(8):相澤智咲
   「建礼門院」徳子(31):●

  ○宮廷の人びと
   ■後白河法皇(59);西田敏行
   ★後鳥羽天皇(6):尾上凛  ※高倉天皇の第四皇子
   丹後局(-):鈴木京香
   平知康(-):矢柴俊博

   九条兼実(37):田中直樹(ココリコ)
   一条能保(39):●  ※頼朝の義弟(同母妹の夫)

  ○その他の人びと
   善児(-):梶原善  ※梶原景時の家来
   文覚(47):市川猿之助
   慈円(31):●  ※九条兼実の実弟

  ※()内は平家滅亡(文治元年)時の年齢85
  ※「」内は通称等。●印はキャスト未定(または不明)
  ※■は頼朝とそのライバル(前半各パートのラスボス)と思われる人物
  ※★は義時とそのライバル(後半各パートのラスボス)になると思われる人物
  ※☆は13人の宿老(義時とそのライバルをのぞく)
  ※登場し(てい)ない人物も含まれています(期待値込)