敬頌新禧 〜白河夜船〜 11 | 嵐好き・まるの ブログ

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まるです。

Over50の葉担櫻葉erです。
徒然におはなしを書き、投げ込んであります。
基本は読み手。
色々なブログに顔を出しては、叫ばせていただいております。

どうぞよろしくお願いいたします^ ^


もうすぐ、
夜が明ける。

初日の出まであと一刻になろうとするころ、
流石に、
天神様の屋台も店じまいを始める。



ばたばたと、
風呂敷に売れ残った根付を納めて、
担いで行こうとする男に、
雅が声をかける。


「お兄さん。
いい稼ぎになった?

ちょっと付き合ってくれないかなぁ。」



雅の柔らかい物腰に、
いかつい男も相好を崩す。



「お兄さんと二人っきりか。
そりゃ新年から、
楽しいことでもしてくれるのかい?」


「くふふ。
そりゃ、もう、
お兄さんの懐と相談次第。」



あらら。
そっちか。


俺は単に、
力を使うつもりだったんだが。


雅は、
上手く勘違いしてくれる男を
天神様の裏の方へ誘おうとする。


「あちらで二人きりにならないかい?」



人気も無い鬱蒼とした木々が集まるそこは、
二人っきりになるのには、
ちょうど良い加減だ。


「兄さん。
しっぽりとするのには、
ここじゃちと寒いんじゃないかい。

俺の隠れ家でもどうかい?」


しなだれかかる雅に、
男が囁きかける。



どうしようか。
ここで片をつける気であったが。

見守っていてくれる智、ねうねうに、
目配りをすると、
二人とも頷いてくれる。



「くふふ。
なら、お兄さんのところで、
温めてくれる?」


「おう。
今日は、新年だから、
俺の手下は暇を取らせて、
俺ひとりきりだ。

どんなに甘い声でないても、
大丈夫だ。
安心しろ。」



男は雅をその汚い腕で抱き込むと、
賭博小屋であろう自分の隠れ家に
連れて行く。




「さぁ。ここだ。」



芝居小屋の裏。

雅は、投げ飛ばされるように、
その汚い座敷の上に、
寝転がされた。




⭐︎つづく⭐︎