敬頌新禧 〜白河夜船〜 10 | 嵐好き・まるの ブログ

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まるです。

Over50の葉担櫻葉erです。
徒然におはなしを書き、投げ込んであります。
基本は読み手。
色々なブログに顔を出しては、叫ばせていただいております。

どうぞよろしくお願いいたします^ ^


もともと、
優男に見えてこの勝利とやらは、
頭の回転が速い男であったのだろう。


掏摸なんて稼業をしているのは、
もったいない。


淡々と話しながらも、
理路整然とした話は、
信用されるに値するものだった。




「なるほど、勝利とやら。


お前の仲間の優太は、
博打の金が払えずに、
その博打小屋の親方に囚われてしまったと。」



雅が、話をまとめると、
勝利は口も滑らかに話し出す。



「はい。
あいつは、
俺たちと違って、
腕のいい左官なんで。

ただ、博打だけがやめられなくて、
俺たちの稼業の仲間になったようなものです。

それが、
金が払えないってだけで、
博打小屋の裏に連れてかれたんで、
様子を見てたら、

あの親方に、
あっという間に根付にされてしまったんです。」


根付か。

人の魂を抜き取って、
その体だけを根付の形に変えられるとしたら、
大層な力の持ち主だな。


思わず思いを巡らしていると、



「他には?」



智が、ぼそっと聞く。

たしかに、
この根付たち。

他にも人の気配がする。


「数はわからないですが、
何人かは一緒に。

俺も
どうにも信じられなかったんですが、
この天神様の屋台で、
縁起物とかでその根付が売り出されてまして。

優太が売られてはいけない。

慌てて、
その一心で、
根付だけ集めてた次第です。」


頭を下げる勝利。

それを尻目に、

「ねうねう。いけるか。」
雅が、
ねうねうを横目で見ると、

「あいよ。」

もうすでに、
ねうねうの姿はなく、
声だけが答える。


「ここで、
和と俺たちを信じて待っててくれるか?

必ず、
優太とやらも、
櫻井様に捕まった飛貴も、
連れて帰る。」


雅が、
勝利に問いかけると、
勝利は、その目に強い光を宿しながら、
雅の目を見て頷いた。



⭐︎つづく⭐︎