敬頌新禧 〜白河夜船〜 2 | 嵐好き・まるの ブログ

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まるです。

Over50の葉担櫻葉erです。
徒然におはなしを書き、投げ込んであります。
基本は読み手。
色々なブログに顔を出しては、叫ばせていただいております。

どうぞよろしくお願いいたします^ ^

  

2



「何者?」


雅との逢瀬を邪魔された櫻井がくぐもった声をだす。



「櫻井様。

そちらの店の方に、与力様を訪ねていらっしゃった方がいますよ。

いかがいたします。

居留守を使うこともできますが。」



なぜかいやに勿体ぶった

ねうねうの言葉に、

櫻井は雅の方を伺い見る。


せっかくの新年。せっかくの休日。

明日二日になれば、市場も開き、

翠屋も営業。

自分も商いが始まったとあれば、

与力として岡っ引や同心が持ち込んだ事件の裁きを

奉行所で裁かなければならないだろう。


だから

今日ぐらいしっぽりと雅と過ごしたかったのだが。




恨めしそうに、

雅の方を見れば、雅が艶やかに笑う代わりに、

隣で酒を食う和が、「会ってやれば。」にやりと笑い、

智がつまらなそうな顔をして。

「返事しなくてもずかずかと入り込んでくるだろ。

ほっとけ。」と、

猪口に入れた酒を仰ぐ。

なぜか

三人とも、何も聞かずとも誰が来て何をいうのかわかっている様子だ。






「ふふ。

では、招かれざる客。

呼んであげましょうか。」



ねうねうが言うと同時に。


「おくつろぎのところ、

誠に申し訳ございません。


私たちの芝居小屋で少々騒ぎがおきまして、

お知恵を借りたいと思います。」



馴染みの

歌舞伎役者 潤之烝が顔を出した。



⭐︎つづく⭐︎