コロナ禍で新規の道の駅巡りが中断していますので、過去の旅で出会った美しい日本の風景を日本列島の北端から順番に紹介しています。
今回は田沢湖から約30kmほどの距離にある
角館武家屋敷 を紹介します。
角館(かくのだて)は、“みちのくの小京都” と呼ばれています。
角館の城下町は元々は別の場所にありましたが、水害や火災にしばしば見舞われたことから、芦名義勝によって、1620年に現在の位置に移転したものです。
新しく作った町は道路の幅員を広げ、下水を整備し、武家の住む地域と町民の町をきちんと区切り、その間には火除けの空間を作るなど、防火対策も施されました。
駐車場に車を停めて武家屋敷通りへ入ると、まず驚いたのがこの巨大な樹々です。
両側の板塀から大きくせり出して、場所によっては地面につきそうなほど枝が垂れ下がっています。
これは 「角館のシダレザクラ」 として国指定の天然記念物にもなっています。
この武家屋敷通りには樹齢300年から若木まで全部で約400本のシダレザクラがあり、その内162本が国指定天然記念物に指定されています。
私が訪問したのは6月でしたのでご覧のように若葉でしたが、4月中旬から下旬にかけてシダレザクラが満開になります。
ホームページから写真をお借りしました。
実は昨年の4月に東北の旅行を計画しており、桜の満開の時期に角館に行くことにしていました。
でも新型コロナの感染が広がったために断念し、直前ですべてキャンセルをしました。
この景色を見ることができず、残念です。
ちなみに、このすぐ近くを流れる “檜木内川(ひのきないがわ)” の堤には約2kmにわたってソメイヨシノの桜のトンネルが形づくられ、これは国の名勝に指定されています。
このふたつを合わせ、「桧木内川堤・武家屋敷」として日本さくら名所100選にも選ばれています。
角館の武家屋敷通りには藩政時代の地割がそのままに、当時の武家屋敷が数多く残っていて、一部は庭先まで見学することができ、江戸時代にタイムスリップした気分になれます。
ここは映画 「隠し剣鬼の爪」 や 「たそがれ清兵衛」 などのロケ地にもなった場所です。
武家屋敷のいくつかは有料で室内まで見学できるところがあります。
この写真の青柳家や石黒家などがそれで、私たちは “石黒家” を見学しました。
石黒家は勘定役を務めていた最上級武士のお屋敷で、築200年ほどです。
観光客を10人位づつのグループに分けて係の人から部屋の中などを案内して貰えます。
更に、武具、刀剣、甲冑類、様々な道具や古文書などが展示されており、見学することができます。
これはほんの一部ですが、生活用具から、何故か “解体新書” まで展示されていました。
角館を治めた久保田藩(秋田藩)は幕末の戊辰戦争で新政府側についたため、旧幕府側が多かった東北諸藩に攻められ苦戦を強いられました。
角館は次第に孤立し陥落寸前になってようやく形勢が逆転したため、この武家屋敷も残ったのです。
1976年(昭和51年)に明治の近代化の影響を受けずに残された武家屋敷地域が 『国の重要伝統的建造物群保存地区』 に選定されたことから、角館は東北を代表する観光地として発展しました。
人力車で武家屋敷巡りをするのも楽しそうですね!
■最寄りの道の駅
・道の駅なかせん(約8km)